テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1174話】「藤井マスク」 2020(令和2)年8月1日~10日


リンドウ

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1174話です。

 大相撲で横綱になるのは、オリンピックで金メダルを取るより難しいと言われます。将棋でタイトルを獲得するのも、同じように至難なことでしょう。将棋のタイトルは、竜王、名人、叡王(えいおう)、王位、王座、棋王、王将、棋聖の八つがあります。そのうち藤井聡太七段は17歳11カ月の最年少で棋聖のタイトル保持者となりました。

 4年前まだ中学生で、14歳2カ月の最年少プロ入りは、62年ぶりの記録更新。3年前の公式戦29連勝は30年ぶりの記録更新。そしてこの度の最年少タイトルも30年ぶり。その他にも記録を作るたびに最年少がついてまわってきました。まさに30年50年に一人という天才なのでしょう。タイトル戦第2局では、人工知能(AI)が6憶通りの手を読んで示した手を選んで、周囲を驚かせました。

 「藤井七段は勝って地位や名誉を手に入れようと思って指していない。いい意味で勝ちにこだわりすぎていない。だからよい手を指せるのかもしれない」とは、師匠の杉本八段の話です。こだわらないことへのこだわりとは、無心無我の境地ではないでしょうか。新型コロナの影響で、4月中旬から約1カ月半公式戦がありませんでした。その時藤井七段は、人工知能の読み筋と自分の考え方を照らし合わせて、自らの将棋を見つめ直したそうです。

 将棋は門外漢で、一手も読むことはできませんが、ひとつだけ読めたことがあります。普段の公式戦とは違って、タイトル戦では和服姿でした。そしてコロナのためマスク着用です。白い色ですがよく見ると、市松模様の織が入っているのです。和装用と思えるおしゃれなマスクでした。タイトルを取れば、その一挙手一投足が注目されるのは当たり前でしょうが、案の定マスクにも世の関心が注がれました。何でも福井県の帯製造会社が開発した「夏用涼やか絹マスク」だそうです。絹は通気性や吸湿性に優れて、最もマスクに適しているということで、手洗い可能な絹100パーセントで、仕上げているものです。タイトルを獲得したマスクということで、一気に火がつき、注文が殺到しているとか、納得できる話です。

 一方、「アベノマスク」と揶揄(やゆ)されている「1世帯に2枚だけ」のマスクは、すこぶる評判が良くありません。まわりで着けている人を見たことがないと思ったら、僅か5パーセントの人しか利用していないそうです。何百億円もの税金は無駄遣いだったと言わざるを得ません。その上さらに、8千万枚のマスクを然るべきところに配布するとか。それも税金でのマスクですよ。まずくありません?アベノマスクと藤井マスクとの差は歴然としています。モリ・カケ・サクラで信頼を失い我が身を守ろうとこだわる人の言うことを、人々は2枚のマスクで両耳を覆いたい気持ちでいます。こだわりを捨てさわやかでかっこよければ、人々は藤井マスクにまっすぐ飛びつきます。

 それでは又、8月11日よりお耳にかかりましょう。

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