テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1170話】「甲子園の土」 2020(令和2)年6月21日~30日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1170話です。
高校球児が持ち帰った甲子園の土が、海に捨てられるという出来事がありました。今から62年前の昭和33年のことです。夏の高校野球選手権は第40回記念大会ということで、大会史上初めて全都道府県に沖縄の代表校を加えた47校で開催されました。沖縄代表は首里高校です。
善戦むなしく1回線で敗退した首里高ナインは、ビニール袋に甲子園の土を詰めて、船で持ち帰りました。しかし、甲子園の土は「外国の土」ということで、植物検疫法違反のため没収され、那覇港の海に捨てられました。当時、沖縄はアメリカ統治下にあったので、日本本土の往来にも、パスポート審査や税関、検疫の検査を受けなければならなかったのです。罪のない球児たちにとって惨い仕打ちでした。
さて、その高校野球も新型コロナウイルス感染拡大を受けて、春も夏も中止となりました。野球の聖地甲子園を目指して、青春を賭けてきた球児たちの無念さは計り知れません。戦って敗れる悔しさは、理解できない訳ではありません。しかし、戦わずして突然に大会そのものがなくなってしまうというやるせなさを、嘆くばかりでしょう。
そんな時、プロ野球阪神と阪神甲子園球場は、目標を失った全国の高校3年生の全野球部員約5万人に、「甲子園の土入りキーホルダー」を贈ると発表しました。そして、6月16日にプロ野球阪神の主力選手やスタッフが甲子園に集まり、試合に敗れた高校生と同じように、グラウンドの土を手でかき集め、シューズ袋に詰めました。その土はボールの形をしたカプセルに詰められ、キーホルダーにして、8月下旬に配送されるそうです。
夏の高校野球では、予選から約3800校が参加しますが、1度も負けないチームはたった1校だけです。それ以外は必ず負けるわけです。でも負けるために野球をやる人はいません。みんな勝とうと努力して、甲子園を目指します。その結果、たいていの人は、敗北感を味わったからこそ、次なる展開を目指せます。今年はどのチームも1度も負けずに夏を終わらなければならないのです。「負けて持ち帰るはずの甲子園の土」入りキーホルダーが、迷わず次の1歩を踏み出せるよう背中を押してくれることを願っています。
「陽も水も大地も借りて種をまく」(松田れい子)どんな種であれ大地がなければ芽は出ません。勿論太陽や水のおかげも必要です。甲子園の土を持った君たちは、どんな種を蒔きますか。日焼けして流した汗も、芽を出す助けとなるはずです。因みに、海に捨てられた甲子園の土の反響は、沖縄返還運動の呼び水となり、その14年後の沖縄返還につながっています。そして今から10年前、興南高校が沖縄に初めて深紅の大優勝旗をもたらしてもいます。甲子園の土は、土だけに誇り(埃)高き土なのです。
それでは又、7月1日よりお耳にかかりましょう。
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