テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1376話】「駅伝と復興」 2026(令和8)年3月11日~20日

 

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1376話です。

 今年1月18日に広島市で第31回全国都道府県対抗男子駅伝がありました。宮城県代表チームは2時間16分55秒の大会タイ記録で悲願の初優勝を果たしました。この駅伝の特徴は中学生から社会人までの世代を超えたチーム編成にあります。7区間48㎞を1区4区5区は高校生、2区6区は中学生、3区7区は大学生か社会人が走ります。中学生は3㎞ですが最終7区は13㎞です。

 県代表で選ばれた中学生とはいえ、その力は未知数の部分が多いはずです。しかし今回の宮城県の中学生は頑張りました。2人とも仙台市の中学3年生です。2区の佐藤駿多選手は、福島に逆転を許すも、6秒差の2位でしのぎました。6区の佐藤迅選手は自己ベストを更新する走りで2位を突き放す活躍でした。中学生の懸命な走りに、先輩方も刺激を受けたことでしょう。

 そして今年は東日本大震災から15年ですが、奇しくも2人の中学生は、大震災の年は生まれたばかりでした。走り終えて2人は「いろいろな人に支えてもらって恩返しをしたい気持ちだった」とか「震災で心を痛めた人たちが元気になれるよう頑張った」と、大人びた感想を述べています。中学生という存在だけでみれば、まだまだ子どもと言ってもいいでしょう。しかし、15年という歳月は、初優勝の一翼を担い、県民に感動を与えるほどの成長ができるのだと、感心させられました。15年という時間そのものは見えませんが、中学生の走りが、15年のひとつの姿であると思い知らされました。

 実は宮城県代表チームは第2回大会の時、47都道府県の中で最下位だったのです。最下位を経験したチームが優勝したのは初めてだそうです。大震災15年の年に駅伝初優勝とは、何やら暗示的です。大震災は最下位などというものではありませんでした。これ以上堕ちるところはないというよりは、這い上がることができるだろうかと、明日が見えず不安と恐怖でいっぱいでした。それでも5年10年とそれこそ47都道府県や外国からも温かい支援を受けてきました。それに応えて私たちも世代を超えて心をひとつにして、それなりに涙と汗を流し、復興に向かってきました。

 今15年を過ごして中学生の眩しい走りや、初優勝の喜びを共にする時、それは復興の喜びとも重なるものがあります。ただ駅伝と違って復興にはゴールテープはありません。住まいや道路など目に見える復興は分かりますが、一人ひとりが抱えた悩み苦しみ淋しさは見えにくいものです。これからは大震災を知らない人が増えるばかりです。世代を超えた駅伝チームがチームワークよく結果を残したように、私たちも老若男女の別なく、をつなぐが如く助け合いながら、心の復興にスタートしましょう。

 ここでお知らせいたします。2月のカンボジアエコー募金は、835回×3円で2,505円でした。ありがとうございました。

 それでは又、3月21日よりお耳にかかりましょう。

 

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