テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1372話】「仏前結婚式」 2026(令和8)年2月1日~10日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1372話です。

 ちょうど71年前の昭和30年2月1日、下村と坂村が合併して、我が町「山元町」が誕生しました。その時から発行された「公民官報やまもと」を綴じたものを、物置整理中に見つけました。昭和48年までの150号分です。新しい町になり新生活運動の息吹がそこかしこに感じられる紙面です。

 中でも昭和40年11月の第61号には、「公民館結婚式」の記事がありました。「新しい人生の門出を祝う結婚式と披露宴は、重大なものであるが、形式にとらわれたり、虚礼にならないようにしたい。公民館では簡素な中にも厳粛で然も真実のこもった方式を採用し実施している」とあります。具体的には「式場は50人程度、花嫁衣裳一揃い準備あり、使用料2,500円。披露宴での酒は1人2合程度、折詰・皿盛・引物は廃止した方が良いと思います」とか。まさに時代を感じさせられます。

 さて、お寺でも結婚式は行われます。本尊さまの前で、新郎新婦が将来の固い契りを誓い合う仏前結婚式です。当然ながら、ご両人は仏教徒でなければなりません。結婚式は教会で行うことが多いかもしれませんが、キリスト教徒という自覚のある新郎新婦は、どれほどいるのでしょうか。

 それはさておき、仏教で白い色は仏さまの色といえます。無垢清浄の象徴です。仏とは死んだ人ではなく悟った人で、心はまっさらで迷いなく、朝はおはようございます、夜はこんばんはと、誰に対しても挨拶できるような人をいいます。究極は死んだときに、痛いも痒いも悩みもなくなって、無垢清浄な状態で仏さまとして、みなさまから拝まれます。よって死に装束は白い着物なのです。

 白い色はこれまでの自分に別れを告げ、新たな自分に生まれ変わる、つまり悟りに向かって精進しますという覚悟を示す色でもあります。よって新婦は白無垢衣装で結婚式に臨みます。これまでの人生を顧みつつ、新たな覚悟をもって新郎との新しい生活を築いてまいりますということです。縁起でもないというかもしれませんが、白い死に装束も結婚式の白無垢も、元をただせば同じ思いが込められています。

 仏前結婚式では、有り難いことに、式師は自らの頭上より清らかな命の水を器に移し、その水を新郎新婦の頭上に灌ぎます。それは多少なりともわがままな色に染まったこれまでの自分と別れ、無垢清浄な心に立ち返り、ふたりで新たな人生を歩んでくださいという、仏さまからのメッセージでもあります。更に式師より仏教徒の証しである珠数が授けられ、一層の精進を促されます。新郎新婦は御仏にふたりの揺るぎない誓いを申し上げます。そして先祖さまからの縁をいただいたおかげで、ふたりは結ばれたという感謝を込めて、両家の先祖さまに報告のお経を挙げます。このように仏前結婚式は形式虚礼を超えて、仏教徒として嘘偽りのない真実の姿を御仏に示す尊い儀式です。
因みに2月14日徳本寺にて、住職が式師を勤め、副住職小林信眼師と鈴木詩織さんの仏前結婚式が行われます。

 それでは又、2月11日よりお耳にかかりましょう。

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