テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1365話】「茶禅一味」 2025(令和7)年11月21日~30日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1365話です。
茶室は室町時代末期から発展しましたが、その起源は禅宗のお寺にあります。住職の居住する「方丈の間」を標準にしています。方丈とは一丈四方の大きさ、つまり4畳半の部屋です。因みに禅宗の住職の尊称である「方丈さま」の由来でもあります。
日本のお茶の祖と言われるのは臨済宗の栄西です。栄西は鎌倉時代初期、中国に渡り修行します。その時お茶の効能に注目して、帰国後お茶の文化を広めます。『喫茶養生記』を著し、「茶は養生の仙薬なり、延命の妙術なり」と記しています。当時、お茶は薬でもあり、たいへん貴重なものでした。先ずは禅僧や貴族の嗜みとなりました。
曹洞宗では、お釈迦さまはじめ、歴代祖師の遺徳を偲ぶ法要の時、様々なお供えをしますが、お茶は欠かせません。一碗の薫り高いお茶が、何人もの僧侶の手から手へと伝わって、恭しく献ぜられます。この時、僧侶は和紙でできた樒(みつ)という小さな紙片を唇に挟みます。尊い方に献ずるお茶に息がかからないようにするためです。そのように細心の心遣いをして供えられるのです。
また法要で本堂に入る時には、足袋ではなく襪子(べっす)という履物になります。足袋は外で草履を履くため親指のところが割れていますが、襪子は先丸足袋とも言われ、割れていません。外で履いた足袋そのままで、神聖な本堂には上がらず、襪子に履き替えるのです。当然ご不浄では襪子を脱がなければなりません。
さて、徳本寺開基家の大條家(おおえだけ)ゆかりの茶室「此君亭(しくんてい)」は、昨年11月に東日本大震災などによる被害から修復完成しました。大條家は仙台伊達藩の重臣であり、茶室は手柄の褒美として伊達藩より賜ったものです。現在は町の指定文化財になっています。先日修復1周年に改めて茶室開きが行われました。菩提寺の住職ということでお招きをいただきました。
大條家の歴代当主にお茶を供える献茶式が、古式ゆかしく行われました。お点前は伊達家御家流(おいえりゅう)の石州清水流14代家元清水道玄さんです。白い紙のマスクをして、流れるような袱紗の所作をはじめ、作法に則り厳粛に茶が点ぜられました。そのマスクはまさに、僧侶が唇に挟む樒と同じ意味があります。また茶室に入るときは、襪子こそ履きませんが、外から履いてきた足袋は履き替えるものだそうです。洋服の場合は白い靴下を着用すべきことも教わりました。
「茶禅一味」という言葉があります。茶道も禅道もつまるところ、一つに成りきることです。一服のお茶を味わい尽くしていただく、そのために爪先から頭のてっぺんまで、気を遣い最大の敬意をはらう作法がなければならないわけです。「威儀(いいぎ)則仏法 作法是宗旨」立ち居振る舞いも作法も、すべては仏法に通ずるのです。そういえば「茶」という漢字は、草冠をふたつの「十」に分解し、下を「八十八」と分解すれば、煩悩の数の「百八」になります。作法によりお茶を飲むとは煩悩もなくすることです。それこそ3分間心のティータイムです。
それでは又、12月1日よりお耳にかかりましょう。

献ぜられた1碗の茶
掛軸は大條家17代伊達宗亮の書
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