テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【1324話】「少年の心達磨の心」 2024(令和6)年10月1日~10日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1324話です。
心理学者の児玉光雄は、大リーグの大谷選手を「少年の心を持つスーパーアスリート」と表現しています。少年時代から野球を楽しむ心を忘れず、自発的に物事に取り込める姿勢が、想像を超えた活躍に繋がっているというのです。
大谷選手は50-50つまり、50本塁打50盗塁という夢のような記録を、軽々と超えてしまいました。アメリカでは宇宙人が野球をしているのかとさえ言われています。しかし、本人は数字にこだわっているそぶりを見せません。兎に角、バットで遠くまでボールを飛ばす、塁に出たら次の塁を目指すという、極めて自然体で野球に臨んでいます。
子どもの頃から、打って走ってセーフになれば、野球は楽しいと誰でも思っていたはずです。その楽しいことのためなら、自ら進んで練習に励むということを、大人になっても変わらずできているのが大谷選手なのです。結果だけに一喜一憂しているうちは、「良かった」「悪かった」という相反する価値観に振り回されて、平常心でいられなくなります。良し悪しを引きずらず、無心になれることが結果に出ているのでしょう。
これは禅の教えにも通じます。10月5日は達磨忌と言って、達磨さんの遺徳を偲ぶ日です。達磨さんは今から1500年以上も前に、インドから中国に渡り、お釈迦さまの教えを正しく伝えた方です。達磨さんは中国で梁の武帝という皇帝とこんな問答を交わしています。「私は寺を造り、たくさんの僧を育成して仏教に帰依してきたが、どんな功徳がありますか」「無功徳」「それでは尊い仏教の極意とは何ですか」「廓然無聖(かくねんむしょう)」
武帝は仏教に貢献していることを達磨さんに自慢したかったのです。達磨さんは、その手柄に囚われていることを見抜きました。これだけ尽くしたとか、尽くさないという対立の概念に陥っていることを断じて、「無功徳」と答えたのです。そして「廓然無聖」こそが仏教の真髄であると教示しました。
廓然とはがらんとして広いさまをいい、無聖は聖なるものはない、つまり聖とか凡という計らいを捨てた無心の境地のことです。からっと澄み渡った大空のように、何らこだわりも区別もない心の持ちようを表しています。たとえ寺を造ったとしても、偉ぶることもなくただそのまま、淡々として無心でいられる姿をいうのでしょう。
大谷選手のさわやかな笑顔は、まさに廓然無聖です。これだけの記録を残すまでには、日々よほどのトレーニングを積んでいるはずですが、微塵も見せません。また昨年右肘の手術をし、今年になって、専属通訳者が違法行為で逮捕され、億単位の被害を被っています。心身共に相当の痛手があったはずなのに、この活躍なのです。七転び八起きの達磨さんの精神力も備えているようです。
それでは又、10月11日よりお耳にかかりましょう。
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