テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1275】「イエスかハイ」 2023(令和5)年5月21日~31日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1275話です。
映画の字幕は、1行最大13文字で、2行までと決められているそうです。誰もがストレスなく読み取れる情報量とか。アメリカ映画にこんなセリフがありました。「Hard To Say Yes」、直訳では、「ハイ、と言うことが困難だ」となります。日常会話としては不自然です。字幕では「すなおじゃないね」、なんと素晴らしい翻訳でしょう。素直に感動しました。
さて小学校に入学した子どもさんたちは、毎朝、先生から名前を呼ばれて、「ハイ!」と元気に返事をしているでしょうか。上級生になるにつけ、この返事に変化が顕れます。段々面倒くさそうに、しょうがなく返事をするようになります。返事をするだけいい方かもしれません。
これは家庭でも当てはまります。子どもが小さい時、「お母さん!(或いはお父さん)」と呼ばれて、親は誰しも「ハイ、なあに」と返事をして、子どものいる方を向いたはずです。それが、子どもが大きくなって、「お母さん」と呼んでも、「何よ」といかにも邪魔そうに反応することがあります。それどころか「今忙しいから、後にして」などと拒否することもあります。親子が向き合わなくなる初期症状です。
私たち修行道場では、返事が命です。兎に角、大きい声で「ハイ」と返事をしなければなりません。極端なことを言うと、古参和尚が白いものを「これは黒だ」と言ったとしても、「ハイ」と言わなければなりません。否定する選択肢はないのです。しかも単に「ハイ」と言うだけでなく、大きな声を出すところが味噌です。そうすることによって、雑念がなくなる気がします。一般社会では通用しない、全く理不尽なことではありますが・・・。
私たちは坂で転ぶと坂のせい、砂利道で転ぶと石のせいにして、自分のせいにはしません。しかし、すべてを肯定することにより、見えてくる世界があります。頼まれて修行しているわけではなく、自ら仏道を求めているのです。人のせいにしたり、できない理由を探しているかぎり、一歩も進めません。転んだことを認めるとは、自分という「我」をなくすことです。その上で、どうすれば転ばないかと工夫する段階に進めます。それを修行といいます。
誰しも子どもの頃、「ハイ」と素直に返事ができます。大人になるにつけ、ハイということが困難になってきます。素直じゃなくなってくるわけです。要するに「俺が俺が」という「我」の塊になってしまうのです。素直さこそが人間を大きくします。こんな言葉に出会いました。「返事は イエスかハイ」。花農家の宮川洋蘭代表の宮川将人さんの座右の銘です。彼には嫌だとかできないという選択肢はなく、花を咲かせることに命を懸けています。そして楽天市場(いちば)年間グランプリにも輝いたのです。
それでは又、6月1日よりお耳にかかりましょう。
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