テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1265話】「末期の水」 2023(令和5)年2月11日~20日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1265話です。
臨終に際して、親族が最初にすることは、「死に水」を取ることでしょう。ガーゼや脱脂綿を巻き付けた割りばしに水を含ませ、亡き人の唇を軽く潤してあげます。「末期の水」ともいいますが、どうして「水をあげる」ではなく、「水を取る」になるのか不思議です。
さて、末期の水の起源はお釈迦さまと言われます。お釈迦さまは、今から2500年ほど前の2月15日に、80歳でお亡くなりになられました。説法の旅の途中で、激しい腹痛に襲われ、クシナガラの沙羅双樹の林の中で、身を横たえられました。死期を悟ったお釈迦さまは、喉の渇きを訴えられました。そばにいた弟子の阿難に「吾渇せり水を飲まんと欲す、汝水を取りに来たれ」と命じました。しかし、川の上流では500の牛車が渡ったばかりで、水は濁っていて、足は洗えますが、とても飲めませんと告げます。それでも3度阿難に「汝水を取りに来たれ」と言います。3度目に阿難が川に行ってみると、不思議なことに濁流が清水となっているところが見つかりました。そしてその水をお釈迦さまに差し上げることができました。
このように末期の水を実際に取りに行ったということです。そして、死んでからではなく、亡くなる前にです。まさに清らかな水を川に取りに行って、最期の旅立ちに苦しむことなく安らかにという願いを込めて、差し上げたものです。
やがて別の観点から、死んでしまえば食べることも飲むことも叶わないのだから、せめてはなむけに喉を潤していただきたいと、口に含ませるようになったのかもしれません。そして「死に水を取る」とは、亡くなった人が水分補給をする意味で、「水を取る」という表現になったともいえます。更に「死に水を取る」ということには、関係者が最後まで全面的に面倒をみるという意味も含まれるようになりました。「お前の死に水は俺が取るから心配するな」などと言うことがあります。いわゆる「最期を看取る」につながるものでしょう。「水を取る」がまさに「看取る」となるわけです。
ところでお釈迦さまは、末期の水を飲む前に、看取っていた弟子たちに、諄々と説法をなさいました。最後の最後にこう言います。「汝等(なんだち)且(しばら)く止みね、復た語(もの)いうこと得ること勿れ。時将に過ぎなんと欲す、我滅度せんと欲す。是れ我が最後の教悔(きょうげ)する所なり」弟子たちよ、嘆き悲しむのをやめて静かに私の最期を見守りなさい。時は過ぎつつあり、私は何の憂いもなく静かに安らかな涅槃に入るのだから。これが私の最後の教えであるぞ。そして満足して、清らかな末期の水を取り、息も引き取りました。
ここでお知らせいたします。1月のカンボジアエコー募金は、1,370回×3円で4,110円でした。ありがとうございました。
それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。
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