テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1266話】「新月と満月」 2023(令和5)年2月21日~28日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1266話です。
「2月逃げていく」とはよく言ったものです。28日間という短い日数だからでしょう。しかし、月の満ち欠けは28日周期で、古代マヤ人は、28日周期の暦を採用していたそうです。月の満ち欠けを生活のサイクルとしていたのです。たとえば、新月の時に作物の種を植えるとか、満月には作物を刈り取るというようにです。
新月は月の満ち欠けが始まる月のことです。地球からは見えません。月が新しく生まれるということで、新しいことを始めるには良いとされます。願い事を行うのも吉だそうです。新月から2日目は二日月で、3日目が三日月となります。
15日目には満月となりますが、そこから月は少しずつ欠けていきます。新月から始めたことは、満月までに終わらせるのが良いそうです。「この世をば 我が世とぞ思う 望月の 欠けたることも なしと思えば」藤原道長が約千年前の1018年旧暦の10月16日の宴の席で、詠んだ歌です。望月は満月のことで、藤原氏の栄華に酔うかのような内容ですが、月の満ち欠けを謙虚に受け入れることが、現実の生活では大切なことです。満月に慢心してはいけません。
ちょっと前までは日本の農作業も、月の満ち欠けを意識したいわゆる旧暦に則った農事歴を参考にしていました。野菜や果物には、その季節に育まれたそれなりの栄養が蓄えられているのです。現代は栽培技術が向上して、見栄えやカロリー消費に重点を置くあまりに、季節を意識せずに、年中様々な作物を食しています。まさに望月の欠けたることのなき世を生きているかのようです。
野菜栽培といえば、こんな興味深い話を聞きました。トマトやキュウリを丈夫に育てる秘訣です。苗を植えた直後に水をやったら、その後は数日間、水をやらないという方法です。これ以上水をやらなかったら終わってしまいそうなギリギリのところで、水やりをするのだそうです。水がないという窮地に陥ったトマトやキュウリは、水を求めて深いところまで根を張り巡らします。土に深く根付き、水分や栄養分を吸収する力が強くなります。その結果、背の高い茎の太いものに成長するといいます。
新月の時は暗闇ですが、物事の始まりとか。水がないという逆境でも、生きようとすれば、根を張っていく野菜の生命力。そう言えば、私たちも東日本大震災の時、電気も消えた暗闇で復興の種を芽生えさせようとしました。大津波で何もかも流され中で、今できることやろうと根を張る如く、懸命に生きてきました。やがて来る満月に、文字通り望みを託そうと励まし合ってきました。こんな言葉があります。「何も咲かない寒い日は、下へ下へと根をのばせ。やがて大きな花が咲く」。来る3月11日には、復興という花を添えて、お互いの命を称え合いましょう。
それでは又、3月1日よりお耳にかかりましょう。
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