テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1197話】「大震災と涅槃図」 2021(令和3)年3月21日~31日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1197話です。
東日本大震災10年目の3月11日午後2時46分、徳本寺の末寺徳泉寺本堂に復興祈願法要と犠牲者慰霊法要の開始を告げる鐘が鳴りました。そこに敢えて、お釈迦さまの最期のご様子を描いた涅槃図を掲げました。10年前の同じ日に檀家総会が開かれ、併せて月遅れの涅槃会を行い、涅槃図を掲げていた因縁によるものです。
残念ながら10年前の涅槃図は、大津波によって本堂と一緒に流されてしまいました。まるで犠牲者に寄り添うように、或いは私たちの身代わりとなるかのようにして。この度掲げた涅槃図は、徳泉寺の惨状を知って、大震災からの復興と犠牲者の慰霊を願って、埼玉県の関根俊子さんが自ら描いて奉納して下さったものです。本堂も全国から寄せられた「はがき一文字写経」の功徳により、9年の歳月をかけ昨年3月11日に落慶しました。
お釈迦さまはお亡くなりになる前に弟子たちにおっしゃいました。「私の死に逝く姿を黙って見つめなさい」。それはまさに身をもって示した最期の説法でした。釈迦と言えども無常の風に逆らうことはできないのだから、これまで教えてきたことを道しるべとして、しっかり生きていきなさいとのおさとしです。誰もがお釈迦さまの死を、すぐには納得できなかったでしょう。しかし最期の姿を見届けたからこそ、少しずつ悲しみを受け入れ、教えを伝え続けてくることができたのです。
大震災では全国で15,900人、山元町で637人、徳泉寺の檀家さんは74人の方が犠牲になりました。その多くの方は、自分の最期をどなたにも見届けてもらえませんでした。自分でも何が起きたかを理解することなく、理不尽な最期を迎えたのです。たとえ犠牲者の死に逝く姿を目撃できた人がいたとしても、正視にたえない惨い光景だったことでしょう。
「私の死に逝く姿を黙って見つめなさい」そう言いきれる人生を、誰もが送られるわけではありません。大震災で犠牲になられた方は、言いきることも見つめられることもなく逝ってしまったのです。勿論、最期を見届けられなかった遺族の方の喪失感も計り知れません。更には行方不明者は2,525人で、その姿を確認できていない人もいます。
涅槃図のお釈迦さまのように、みんなに見守られて最期を迎えるのは理想でしょう。遺族の方も大切な方の死に逝く姿を見つめることにより、少しずつその死を受け入れることができます。10年前はそれができませんでした。10年ひと昔とか、10年でひと区切りとは言うものの、人間という「ひと」の思いは簡単に割り切れるものではありません。何年経とうが大震災は現在進行形と心して、これからも涅槃図を掲げて、大震災の日に追悼の誠を捧げましょう。
それでは又、4月1日よりお耳にかかりましょう。

涅槃図を掲げての慰霊法要
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