テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1189話】「牛に引かれて」 2021(令和3)年1月1日~10日
住職が語る法話を聴くことができます

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1189話です。
あけましておめでとうございます。今年1年も耳障りではなく、耳寄りな話をお届けできるよう努めてまいります。よろしくお付き合いください。
十二支1番目のネズミ年から、今年は2番目の牛年です。その順番にまつわる話があります。神様は12匹の動物をその年の代表にし、順番を決めるために競争させました。足が遅いことを自覚している牛は夜中に出発して、見事1位でゴールしたと思ったら、こっそり牛の背中に乗っていたネズミが飛び降り、逆転1位で牛は2位に甘んじました。
今年はネズミような姑息さが蔓延(はびこ)らないことを願います。そういえば昨年は、国のトップだった方が、会計処理の責任を秘書に擦り付けました。また新型コロナウイルス対応の交付金で、博物館の照明をLEDに切り替えたり、公用車を10台も買い替えたなどという、およそコロナ感染からかけ離れた「便乗した予算行使」をした県もありました。ネズミ年のせいでしょうか。
さて、「牛に引かれて善光寺」という諺があります。農耕文化の中で牛は大切な家畜でした。現代のトラクターやトラックの役目を果たしていました。しかし、力が強いだけで、その動作は敏捷性には欠けます。それなのにどうしてお寺参りに牛なのかということです。こんないわれがあります。善光寺の近くに不信心で強欲な老婆がいました。ある日、晒しておいた布を、偶然に牛が角に引っ掛けて走り出しました。当然老婆は牛を追いかけました。たまたま牛が駆け込んだところが善光寺でした。そこで老婆は初めて善光寺が霊場であることを知り、後生を願うようになり、以来お参りを続け信仰に目覚めたということです。
この諺は、思いがけない縁で、良い方に行くことを示しています。その仲立ちとなったのが牛だったというのは、牛の徳分を表しているような気がします。背中にネズミが乗っていることを知ってか知らずか、ともかく自分ののろさは十分に承知しています。だから早めに歩き始めるという計画性は侮れません。ノロノロでも着実に一歩ずつ前進を続ける勤勉さは、見習うところがあります。
初詣でお寺や神社にお参りなさったことでしょうが、一時のお参りで劇的に人生が変わることはないでしょう。初詣をきっかけとして牛に引かれるように、今年は足繁く寺社参りを続けるならば、少々のことでは牛のように動じなくなるかもしれません。牛の背中に便乗するのではなく、牛のように自らの足をしっかり地に着けて、自分の歩幅と速さで、着実に前に進むことです。そうすれば胆(たん)のすわった生き方が具わってきます。道中お腹がすいたら、牛タンをいただくのもお勧めです。「牛に引かれて善光寺」「めしに惹かれて牛タン焼き」。これって、耳寄りの話でしたか。
それでは又、1月11日よりお耳にかかりましょう。
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