テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1152話】「ゴールを定める」 2019(令和元)年12月21日~31日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1152話です。
寺社建築など格式ある建物に、格天井(ごうてんじょう)があります。格子(こうし)に組んだ升目の中に一枚板が収まっています。洋風のクロス張りと比べると、手が込んでいることがわかります。升目の部材である組子(くみこ)は、単なる棒ではなく、面取りが施してあります。それは銀杏面(ぎんなんめん)というそうです。殻付きの銀杏のような丸みを帯びた形状です。相当の手間がかかっています。
というわけで、東日本大震災の津波で流され、全国のみなさまから寄せられた「はがき一文字写経」の功徳で建築中の徳泉寺は、工事が遅れに遅れて、完成引渡しは年明けてからということになりそうです。大工さんが一日中作業をしていても、目立った進み具合いが感じられないこともあります。ただ単に金槌で釘を打ち付けて終わりという作業ではなく、鑿(のみ)や鉋(かんな)を駆使しての、繊細な手仕事が求められています。
一般住宅からすれば、倍も三倍もかかっています。加えて、そのような技術を持つ大工さんは少なくなり、生産性は望めません。それでも建て主としては、現状に甘えてばかりはいられません。当初思い描いていた完成時期より1年以上遅れています。全国の「はがき一文字写経」の納経者の方に申し訳が立ちません。
そこで大工さんにゴールを明言しました。大震災から9年の来年の3月11日に落慶法要を行うことを。その前に、徳泉寺の前住職の三十三回忌が、ちょうど来年1月に当たるので、新本堂の杮落としとして、その法要を行う旨を伝えました。お尻に火をつけたという感じです。同時に私のお尻にも火はついているわけです。限られた時間の中で、2つの一大法要を行わなければならないというのは、準備を考えれば、物理的にかなり厳しいことは百も承知です。
しかし、全国の47都道府県すべてのところから寄せられた2千枚近い「はがき一文字写経」の恩に報ゆるためにも、そして銀杏面をはじめ様々な技を尽くして、本堂としての風格を整えてくれた大工さんの熱意に応えるためにも、成し遂げなければならないことです。ゴールが定まっていないと、いい加減な走り方しかできなくなります。
みなさまも歳末の最中、大晦日というゴールを目指して、明日なき戦いに忙殺されていることでしょう。今日は大掃除、明日は買い出しというふうに。ある人が言いました。「明日やろうは バカヤロウだ」。今日の分は今日のうち、というより、明日の分までやるぐらいの心意気を持ちましょう。そうすれば除夜の鐘というゴールの鐘が響くことでしょう。食卓には手の込んだ料理のひとつ茶わん蒸しも並ぶことでしょう。中身の銀杏(ぎんなん)いちょうを良く味わって、一陽来復・新年を迎えましょう。
それでは又、来年1月1日よりお耳にかかりましょう。
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