テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1127話】「美しい調和」 2019(平成31)年4月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます


 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1127話です。

 一世代・二世代というときの「世」という字は、漢数字の「十」を三つ並べた姿で、30年間を意味するそうです。もっと言えば、親が子に引き継ぐまでの30年間のことです。一世代を30年と数えると、その家の歴史がわかるとも聞いたことがあります。

 平成という時代も、30年と約4カ月をもって終わろうとしています。文字通りの世代交代です。昭和54年に施行の元号法に「皇位の継承があった場合に限り改める」としています。また天皇の代替わりの時だけ改元する「一世一元」は明治時代に制度化されました。それに則り、5月1日の新天皇の即位に合わせて、新しい元号になります。

 そして、「令和」という新元号が発表されるや、世の中は一気に時代が変わったかのような雰囲気になりました。これまでさんざん「平成最後のの何々」と言っていたのが、「令和最初の何々」というものの見方に変わってきています。目ざとくあやかり商品も出てきました。福島県ではお酒の銘柄になったり、地元宮城県ではかまぼこに「令和」の文字を入れて売り出しました。

 逆にあやかられたと言えるかどうか。「令和」という文字そのものが、自分の名前になっている人がいます。男性なら「令和」と書いて、「よしかず」とか「のりかず」という方。女性なら「れな」という方もいるようです。よもや自分の名前が元号になるとは思ってもいなかったことでしょう。同時に元号になるほどの名前だったと誇らしく感じているでしょうか。

 実は私の名前である「文明」は、歴とした元号になっています。室町時代の応仁の乱が始まった応仁は2年間だけで、その後、改元されて文明となりました。今からちょうど550年前の1469年で18年間続きました。しかし応仁の乱そのものは、11年間も続きましたので、文明という時代の半分は戦乱の中です。長い内乱が治まったと思えば、よい時代と言えるのでしょうか。

 新元号「令和」は、「令月にして風和(やわ)らぎ」という言葉が元になっています。そして海外向けの英訳では「beautiful harmony」で、「美しい調和」と意味づけています。人に名前を付ける時は、立派に生きられるようにと願いを込めるでしょう。その名にふさわしい生き方をしようと心がけるのが人生です。時代に名前を付けるのも同じようなものです。あやかるべきは名前に込められた想いです。令和を仏教的に訳せば、「慈悲」と言ってもいいかもしれません。自分勝手な三角四角の尖った心を捨てて、丸い心で人とも自然とも調和していけば、30年後位には令和という良き時代に生きてよかったと誰もが思うことでしょう。

 ここでお知らせ致します。3月のカンボジア・エコー募金は、187回×3円で561円でした。ありがとうございました。

 それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1363話】
「精進が良い」
2025(令和7)年11月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1363話です。 10月26日、関東・東北地方は朝から雨でした。それにもかかわらず、第19回テレホン法話ライブには、たくさんの方に参加いただきました。そこでみなさんに申し上げました。「何かの集まりの時、天気が良ければ、みなさんの日頃のご精進がよろしいようで、こんなにいい天気になりましたねと挨拶します。今日は何と言えばいいのでしょう... [続きを読む]

【第1362話】
「壁と扉」
2025(令和7)年10月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1362話です。 達磨さんは縁起物として知られていますが、インドから中国に禅の教えを伝えた曹洞宗の祖師です。菩提達磨大師といいます。赤い法衣に身を包み、面壁九年といわれるほど壁に向かって坐禅を組んでいました。その後ろ姿がいわゆるの達磨さんの形になっています。 坐禅は壁に向かって、ひたすら自分の... [続きを読む]

【第1361話】
「四足走行」
2025(令和7)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1361話です。 人類の祖先である類人猿が約700万年前に樹上生活から地上に降り、二本足で歩くようになったと言われています。この長い歴史を経て、走る速さも進化しています。現在人類最速の100㍍の世界記録は、2009年にウサイン・ボルトが出した9秒58です。 この二本足進化に逆行するかのように、... [続きを読む]