テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1070話】「死をもって教える」 2017(平成29)年9月11日-20日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1070話です。
死んだペットのお葬式を依頼されたことがあります。火葬場で供養もしました。ペットの法事を勤めたこともあります。しかし、どんなに可愛がっているペットでも、自分の主人が亡くなったからと言って、葬式をしてはくれません。私もまだペットから葬式の依頼を受けたことはありません。
さて、次のデータをどう読みますか。ある新聞社のアンケートで、「自分の葬式が必要」と答えた人は44パーセント、「必要でない」は56パーセントでした。必要でない理由として、「ひっそりと終りたい」「形式ばったことはしたくない」「お金がかかる」そして「家族に迷惑がかかる」という風に続きます。
人は基本的には一人で生まれて一人で死んでいきます。実際は生まれる時も、否、生まれる以前の両親の縁ということをはじめ、多くの人に見守られて誕生します。そして、人の役にも立ちますが、迷惑をかけることもありながら、限られた人生を過ごします。たとえ誰にも看取られず、たった一人で亡くなったとしても、いつまでもそこに放っておかれるわけがありません。誰かがそれなりのお世話をして、然るべきところに落ち着くことになります。
最初から自分の葬式が必要でないという考え方は、ある意味、自分勝手です。ペットの可愛らしさ以上に、人間としての尊厳に思いを致すべきでしょう。金銭的な問題やまったく身寄りがないという切実な状況を抱えていても、亡き人を悼むことを疎かにできないのは、人間であればこそです。そこが他の動物と違うところです。
死んだらこの世に何も残したくないし、私のことなど早く忘れてもらって結構、という人もいるかもしれません。しかし、誰ともどんなものとも関わらずに生きられる人はいないのですから、必ずあなたの死を悼む人がいます。それはあなたに人間としての尊厳性を見るからです。簡単に言えば、「もの扱い」をしたら尊厳性はなくなります。
そして何より、葬式を必要と答えた人の理由の中で、「家族に気持ちの区切りをつけて欲しい」というのが、ダントツ一位でした。この世で一番身近である家族が亡くなった時、その喪失感は計り知れません。きちんとしたお別れができなかったとなれば、いつまでも悲しみを引きずってしまいます。
「自分の死をもって教えの時とする」昨年6月3日74歳で亡くなった元プロボクサー世界ヘビー級チャンピオン、モハメド・アリの言葉です。死に逝く人から学ぶべきことはたくさんあります。葬式は一番の機会でしょう。その上で「たった一度の人生を一緒に過ごせてありがとう」と、見送る人も逝く人も、お互いそう言い合える葬式こそ理想です。
ここでお知らせ致します。8月のカンボジア・エコー募金は、153回×3円で459円でした。ありがとうございました。
それでは又、9月21日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【第1362話】
「壁と扉」
2025(令和7)年10月21日~31日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1362話です。 達磨さんは縁起物として知られていますが、インドから中国に禅の教えを伝えた曹洞宗の祖師です。菩提達磨大師といいます。赤い法衣に身を包み、面壁九年といわれるほど壁に向かって坐禅を組んでいました。その後ろ姿がいわゆるの達磨さんの形になっています。 坐禅は壁に向かって、ひたすら自分の呼吸だけを意識して、一切の雑念を払う... [続きを読む]
【第1361話】
「四足走行」
2025(令和7)年10月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1361話です。 人類の祖先である類人猿が約700万年前に樹上生活から地上に降り、二本足で歩くようになったと言われています。この長い歴史を経て、走る速さも進化しています。現在人類最速の100㍍の世界記録は、2009年にウサイン・ボルトが出した9秒58です。 この二本足進化に逆行するかのように、... [続きを読む]
【第1360話】
「報恩深し」
2025(令和7)年10月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1360話です。 徳本寺における年回忌供養の傾向としては、1周忌・3回忌を供養される方は、8割以上にのぼります。年数を経る毎に減少していきます。特に27回忌は3割・2割台に落ち込みます。33回忌で4割台まで盛り返すことがあります。どうも27回忌は忘れられ易いようです。 そして。今年10月11日... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2025年
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2024年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月