テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1057話】「反省と懺悔」 2017(平成29)年5月1日-10日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1057話です。
仏教をはじめ、宗教は懺悔の時を重んじます。それほど、人は罪を犯しているということなのでしょう。法律に触れるようなことをする人は極一部ですが、一般の人も意識するとしないとに関わらず、小さな罪を重ねていることがあります。ごみを捨てる、嘘をつくなどです。
「我、昔より造る所の諸々の悪業(つみとが)は、皆、いつともしれず身についた貪(むさぼ)り、瞋(いか)り、癡(おろ)かさに由り、身と口と意(こころ)より生ずるところなり。我、今、一切を懺悔し奉る」これは曹洞宗で唱える懺悔文です。大なり小なり、私たちが犯す罪は、自分勝手な欲望や怒りやわきまえのなさが原因になっています。それは行いや言葉・心の持ちようで、表に出て人を傷つけることがあります。だから、日々反省し懺悔しなければなりません。
先月4日、今村雅弘復興大臣は福島第一原発事故の自主避難者に対して、「帰らないのは本人の責任」「裁判でも何でもやればいい」と言い放ちました。更に質問した記者に対して、「二度と来ないでください」「うるさい」などという暴言を吐きました。明らかに瞋(いか)り、癡(おろ)かさの成せる罪です。この時、批判を浴びて発言を撤回。反省したかもしれませんが、懺悔をしたとは思えません。
反省と懺悔は似たようなものですが違います。反省は自分を見つめ直すことです。懺悔は心から改めて二度と過ちを繰り返さないことを誓うことです。問題はこの時誰を前にして誓うかです。一般的には当該の関係者を前にしてということでしょう。しかし、宗教的な懺悔となれば、神や仏を前にしてということになります。その時、人は恐れや自分の力の至らなさを素直に認めることができます。大臣が民衆を前にしたとき、どこか上から目線な気持ちがあったのではないでしょうか。
今村復興大臣は、舌禍事件の舌の根が乾かない先月25日、またしても失言を発し、とうとう更迭されました。東日本大震災の被害に関して「これは、まだ東北で、あっちの方だから良かった。もっと首都圏に近かったりすると、莫大な甚大な被害があったと思う」と述べたのです。どんな言い訳をしても、この発言を取り消すことはできないでしょう。
私たちの悪業(つみとが)は、身と口と意(こころ)より生じていることを見事に証明してくれました。そして、4日の暴言の懺悔もしていないことを十分に裏付けるものです。国のリーダーたる者は、この度の東日本大震災を、我がこととして捉えなければなりません。そこに心が入っていれば、見当違いの発言が出るはずがありません。懺悔をすることにより、口は災いの元から、口は幸いの元に転じることができます。思いやりもなく、復興から退陣してしまうような復興大臣は懺悔の値打もありません。
それでは又、5月11日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【第1358話】
「さびない鍬」
2025(令和7)年9月11日~20日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1358話です。 現在全国の100歳以上の高齢者は9万5千人を超えています。徳本寺の過去帳にもここ10年以上毎年100歳を超えた方の名前が記されています。 さて、100歳と言えば良寛さんにまつわる次のような話があります。80歳のおばさんが良寛さんを訪ねてきました。「良寛さん、私もこんな歳になりましたが、もう少し長生きをしたいので... [続きを読む]
【第1357話】
「花には水を」
2025(令和7)年9月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1357話です。 仏教思想家のひろさちやは「仏教は『幸福学』です。仏教にかぎらず、あらゆる宗教が幸福学なのです」と言っています。不幸になりたい人はいません。誰しもが幸せになりたいのです。 仏教を開かれたお釈迦さまの正式な呼び名は「大恩教主本師釈迦牟尼仏」です。大きな恩の教えの主である本物の師匠... [続きを読む]
【第1356話】
「平和の鐘」
2025(令和7)年8月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1356話です。 「弾(たま)となり人殺せしか我が寺の供出させられし釣り鐘は」広島県のある住職さんの歌です。先の戦争で、金属類回収令で多くの寺の鐘が供出させられました。徳本寺の旧釣り鐘堂の梁には鐘を釣っていたと思われる穴だけが開いていました。鐘はお国のためになったのでしょうか。 お寺の鐘は平和... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2025年
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2024年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月