テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第1027話】「ビートルズの空気」 2016(平成28)年7月1日-10日

住職が語る法話を聴くことができます

1027_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1027話です。
 世界最大の博物館と言えば大英博物館。収蔵品は800万点もあるそうです。「大英」という名前は、その昔イギリスは、「大英帝国」と呼ばれていたことによるのでしょうか。世界各地に植民地や海外領土を持っていて、世界史上最大の面積を誇る帝国と言われました。そういったところから集められたものが多数あって、世界に誇れる博物館になっているのでしょう。
 そのイギリスが、6月23日の国民投票で、欧州連合(EU)を離脱することになりました。連合の中にいるより、一国としての誇りを保ちたいという比較的年配の方の票が離脱につながったようです。良くも悪くも世界に影響を与えることは必至で、イギリスの存在感を示した出来事です。
 そして、今からちょうど50年前にも、イギリスから世界を駆け巡ったニュースがあり、日本でもたいへんな騒ぎとなりました。世界の音楽界の歴史を塗り替えたビートルズのブームです。1966年6月30日から7月2日にかけて、ビートルズが来日して、日本武道館にて5回の公演を行いました。約5万人の観衆が武道館に押しかけました。行きたくても行けないファンは、その何十倍もいたのです。チケットは抽選によるものでした。更に学校では、ビートルズの音楽に熱中する者は不良であるという雰囲気すらありました。
 しかし、大人の硬い頭をよそに、ビートルズのマッシュルームカットというヘアスタイルで歌う曲は、たちまち若者をとりこにしました。そして、現在日本の音楽の教科書にも、普通にビートルズの曲が載っています。50年前の騒ぎを知る由もない子どもたちが、平気で彼らの素晴らしい音楽に触れています。
 先日50年前にビートルズに熱狂した66歳の女性が、テレビのインタビューに答えていました。彼女は当時16歳の女子高生でした。学校から不良と言われてもかまわない覚悟で武道館に行ったそうです。そしてこれがその時から持っている生涯の宝物ですと言って、栄養ドリンク剤が入っていた空き瓶を見せてくれました。ただの空き瓶にしか見えないのですが、理由を聞いて驚きです。ビートルズが舞台を降りて、興奮冷めやらない会場の空気を、この空き瓶に詰めてすぐに蓋をしました。この瓶を持っていると、いつもあの時のビートルズと一緒にいる気持ちになれるというのです。勿論50年間一度も蓋を開けたことはないそうです。
 さて2500年前のお釈迦さまのことを知る由もない私たちは、経典によりその素晴らしい教えに触れています。お釈迦さまが説教した会場の空気を詰めた容れ物が、どこかに伝わっているという話は聞きません。しかし、お釈迦さまの教えの通りに振る舞うことにより、自分の周りにお釈迦さまがいますが如き空気を漂わせることが大切でしょう。因みに、大英博物館には、ビートルズコーナーがあって、たばこの紙に書かれた直筆の歌詞などが展示されているそうです。ビートルズの空気を感じるられることでしょう。
 それでは又、7月11日よりお耳にかかりましょう。

最近の法話

【第1371話】
「520足の靴」
2026(令和8)年1月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1371話です。 「むずかしいことをやさしく やさしいことを深く 深いことをおもしろく おもしろいことをまじめに 書くこと」と言ったのは作家の井上ひさしさんです。まさにそのような姿勢を、堅いニュースを伝える際にも貫いたのは、久米宏さんです。 フリーアナウンサーの久米宏さんが81歳で亡くなりまし... [続きを読む]

【第1370話】
「馬連」
2026(令和8)年1月11日~21日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1370話です。 孫悟空でお馴染みの『西遊記』は、中国・唐の時代の玄奘三蔵法師のインド旅行記がもとになっています。インドで仏教を学び「大般若経」600巻を持ち帰り、漢文に訳しました。今から1300年以上前の663年のこと。そのうちの578巻目を「理趣分経」といいます。日常生活の中で仏に根差した生... [続きを読む]

【第1369話】
「白い馬」
2026(令和8)年1月1日~10日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1369話です。 あけましておめでとうございます。今年はうま年ですが、お釈迦さまには長年一緒に過ごしたカンタカという白い馬がいました。奇遇なことにお釈迦さまと同じ日に生まれました。更にその馬の世話をしていた御者のチャンダカも同じ日に生まれています。お釈迦さまは釈迦族の王子として生まれ、カピラ城に... [続きを読む]