テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第1019話】「死を想像する」 2016(平成28)年4月11日-20日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1019話です。
「床の間に棺桶を置いておき、頭にきたとき、どうしてよいかわからなくなったとき、その棺の中に入り、そこから自分の人生を見渡してみよ」とは、内山興正老師の言葉だそうです。棺桶に入っても死ぬわけではなく、死ぬことを意識して、死の疑似体験をするわけです。そこから自分の人生を振り返れば、行き詰っていた道も
開けることがあるということでしょうか。
子どもの自殺報道が続いています。昨年12月に広島県府中町の中学3年の男子生徒が自殺しました。進路指導で1年生の時の万引き歴を指摘され、私立高校への推薦ができないと言われたことを悲観しての事でした。しかし、自殺した2日後に、万引きの記録は別の生徒のものであることが判明しました。学校側は誤りを訂正する機会があったにもかかわらず、誤った記録のまま受け継がれ、進路指導に至ったのでした。「冤罪(えんざい)」とも言える事件で尊い命が失われました。
また神奈川県相模原市では、児童相談所に通っていた死亡当時14歳の男子中学生が、2年前の秋に自殺を図り、今年2月に死亡していたことがわかりました。小学校のころから両親による虐待があり、児童相談所は定期的に両親や生徒に面接指導を進めていました。一時保護も提案しましたが、両親の同意が得られず、「急迫した状況ではない」との判断で、保護しなかったというのです。一時保護を受けていれば、命を失わずに済んだかもしれません。
ふたつの事件とも、本人に罪はなく、関係者の的確な指導判断があれば、起こらなかったかもしれません。ただ気になるのは、本人たちの死に急ぐ姿です。本人でなければ分からない、追い詰められた状況があったことは想像に難くありません。それでも死んだら、すべてが終わりなのです。この世に生を享けて、10年余りでは、棺桶に入る疑似体験死を想像することは難しいかもしれません。自殺を思い立ったとしても、その時大きく深呼吸をして、息を吐き出してみてください。少し冷静になれるはずです。そして真剣になって、自分が死んだあとのことを隈なく想像してみてください。
棺桶に入っている自分を拝んでみるのです。誰が話しかけても、答えることはできません。泣くことも笑うこともできません。どんなに美味しいものを供えられても、食べることもできないのです。血が通わなくなった身体は、氷のように冷たいのです。そんな自分に耐えられますか。生きている間に自分の死を想像することによって、生きていることの有り難さがわかるはずです。死んだら生きていることの想像すらできないのです。新学期、新しい友だちと楽しく過ごしましょう。
ここでお知らせ致します。3月のカンボジア・エコー募金は、299回×3円で897円でした。ありがとうございました。
それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。
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