テレホン法話
~3分間心のティータイム~
【第910話】「宗教意識」 2013(平成25)年4月1日-10日
住職が語る法話を聴くことができます
お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第910話です。
東日本大震災以後初となる「学生宗教意識調査」の結果が公表されました。大震災による意識の変化を複数回答で聞いたものです。最多は「自然の力の大きさを改めて感じた」で68.9%でした。「人とのつながりの大切さを再認識した」50.7%。「生きる意味を考えるようになった」35.0%。「死を身近に考えるようになった」34.0%。と続きます。大学生を対象に全国30校4094人の回答の結果です。
直接被災した人も、そうでない人もいたことでしょう。いずれにしても、あれだけの大惨事を前にすれば、これまでとは違う何かを感じるはずです。大自然の中にあって、人間の存在がちっぽけなことは、頭ではわかっていました。ひとつ屋根の下に家族がいることを、当たり前と思っていました。しかし、現実に起きたことは、想像を絶するものでした。大震災によって、自然の力や、生きるということ・死ぬということが身近な我がことの問題と意識できた結果の顕れなのでしょう。
仏教の言葉でいえば、「無常を観じた」ということになります。誰しも多少の無常観は抱いても、打ちのめされるような無常観は、そう持ちえないでしょう。それを大震災は、これでもかというほど見せつけてくれたのです。因みに、今回の調査で「特に変わったことはない」という回答は9.9%だけでした。そして、「信仰をもっている」は16.1%で、11回続いている調査の中で、最も高い数値だそうです。普段は当たり前に思っていることが、当たり前でなくなったとき、無常を観じ、信仰に目覚めるというのは極めて自然なことです。
さて、4月8日はお釈迦さまのお生まれになった日です。今から約2500年前のことです。釈迦族の王子さまとしてお生まれになりました。しかし、誕生7日目に母親であるマーヤ妃は、産後の肥立ちが悪かったのか、急死したのです。その後王子さまは成長してものごごろが付くにつれ、ご自分がこの世に命をいただいたために、母親が若くして命を終えられたのではと、母を追慕し、苦悩されました。まさに「我が生まれし日は母の受難の日」との想いがあったのでしょう。王子さまでありながら、29歳で出家された原点は、生まれてすぐに母を亡くされたという一大事にもあったと想像できます。お釈迦さまの誕生をお祝いするとは、生まれることも死ぬことも無常なればこそと納得し、いただいた命の尊さに思いを致すことでもあるのです。
学生宗教意識調査の結果は、大震災以後を生きるすべての人に共通するものでしょう。それはお釈迦さまが幼くして抱いた無常の想いと何ら変わらないと信じます。だからこそ、自分の命も他の命も尊いものであることを強く意識しなければなりません。一人で復興できるわけもなく、一人だけのための復興もないのですから・・・。
それでは又、4月11日よりお耳にかかりましょう。
最近の法話
【第1357話】
「花には水を」
2025(令和7)年9月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1357話です。 仏教思想家のひろさちやは「仏教は『幸福学』です。仏教にかぎらず、あらゆる宗教が幸福学なのです」と言っています。不幸になりたい人はいません。誰しもが幸せになりたいのです。 仏教を開かれたお釈迦さまの正式な呼び名は「大恩教主本師釈迦牟尼仏」です。大きな恩の教えの主である本物の師匠としての釈迦牟尼仏ということです。偉... [続きを読む]
【第1356話】
「平和の鐘」
2025(令和7)年8月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1356話です。 「弾(たま)となり人殺せしか我が寺の供出させられし釣り鐘は」広島県のある住職さんの歌です。先の戦争で、金属類回収令で多くの寺の鐘が供出させられました。徳本寺の旧釣り鐘堂の梁には鐘を釣っていたと思われる穴だけが開いていました。鐘はお国のためになったのでしょうか。 お寺の鐘は平和... [続きを読む]
【第1355話】
「母と地獄」
2025(令和7)年8月11日~20日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1355話です。 アメリカではハリケーンに「ローラ」とか「マリア」という女性名を付けることがあります。しかし、広島に原爆投下した爆撃機B29の愛称がエラノ・ゲイという女性名とは驚きです。 その由来は、爆撃機の機長ポール・ティベッツ大佐の母の名前だというのです。息子である機長からすれば、母は強さ... [続きを読む]
テレホン法話
~3分間心のティータイム~
- 2025年
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2024年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2023年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2022年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2021年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2020年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2019年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2018年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2017年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2016年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2015年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2014年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2013年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2012年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2011年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2010年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2009年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月
- 8月
- 7月
- 6月
- 5月
- 4月
- 3月
- 2月
- 1月
- 2008年
- 12月
- 11月
- 10月
- 9月