テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第779話】「コショクとワショク」 2009(平成21)年8月11日-20日

 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第779話です。
 服部栄養専門学校長の服部幸應(はっとりゆきお)さん曰く、三つの「コショク」があるそうです。家族でそれぞれ個別に違うものを食べる「個食」、食べる時間がバラバラでひとり孤独に食べる「孤食」、好きなものだけを食べるという偏って固まっている「固食」。そして今、食のゆがみを家族の食卓から正そうという「食育」の大切さが叫ばれています。
 小中高生の子どものいる全国の主婦600人に尋ねた調査によりますと、朝食の時、食卓に家族の揃うのが週に2回以下の家庭が65%もあり、同じく夕食の場合も57%に上ります。特に朝食では「ここ一年以上揃って食べていない」が11%もありました。現代社会は24時間朝であれ、夜であれ誰かが働いていなければ成り立ちません。家族が揃って食事を出来ない条件は十分にあります。「家族団欒」という言葉も、死語になりつつあるのでしょうか。
 時恰もお盆。お盆には「食育」も「家族団欒」も盛り込まれているたいへんありがたい行事です。お盆は、亡き人が故郷に帰ってくる日です。家族は勿論、遠くの親戚も集まり、自分たちの大事なご先祖様をお迎えして過ごします。直接は知らない古いご先祖様のことも、親戚のどなたかに昔語りできかせていただき、計り知れないおかげを実感できるものです。
 そんな話ができるのも、みんなで食卓を囲んでいるからです。勿論、亡き人にも生きておわしますが如くに、山野海の珍味をお供えします。みんな一緒に同じものをいただくことにより、話題もひとつになって盛り上がります。故郷を離れて、「コショク」になっている人も、本来の食事の楽しさを思い出すはずです。
 ですから、お盆の食事は、三つの「コショク」ならぬ、三つの「ワショク」といえます。先ずは、ご先祖様の話を伝えながらの「話の食事」の「話食」。二つ目は、みんな揃って食卓を輪になって囲む食事の「輪食」です。そして、ハンバーグを食べながら、お盆ではあまりピンときません。やはり日本食の「和食」でしょう。「和食」の「和」は「和やかな食事」ということでもあります。お盆ばかりでなく、普通に家族でもだんらんと、こういう食事ができるといいのですが・・・。
 ここでご報告いたします。7月のカンボジア・エコー募金は、99回×3円で297円でした。ありがとうございました。
それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。
CAM0Q5IU.jpg

最近の法話

【第1357話】
「花には水を」
2025(令和7)年9月1日~10日

お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1357話です。 仏教思想家のひろさちやは「仏教は『幸福学』です。仏教にかぎらず、あらゆる宗教が幸福学なのです」と言っています。不幸になりたい人はいません。誰しもが幸せになりたいのです。 仏教を開かれたお釈迦さまの正式な呼び名は「大恩教主本師釈迦牟尼仏」です。大きな恩の教えの主である本物の師匠としての釈迦牟尼仏ということです。偉... [続きを読む]

【第1356話】
「平和の鐘」
2025(令和7)年8月21日~31日

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1356話です。 「弾(たま)となり人殺せしか我が寺の供出させられし釣り鐘は」広島県のある住職さんの歌です。先の戦争で、金属類回収令で多くの寺の鐘が供出させられました。徳本寺の旧釣り鐘堂の梁には鐘を釣っていたと思われる穴だけが開いていました。鐘はお国のためになったのでしょうか。 お寺の鐘は平和... [続きを読む]

【第1355話】
「母と地獄」
2025(令和7)年8月11日~20日

news image

住職が語る法話を聴くことができます お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1355話です。 アメリカではハリケーンに「ローラ」とか「マリア」という女性名を付けることがあります。しかし、広島に原爆投下した爆撃機B29の愛称がエラノ・ゲイという女性名とは驚きです。 その由来は、爆撃機の機長ポール・ティベッツ大佐の母の名前だというのです。息子である機長からすれば、母は強さ... [続きを読む]