テレホン法話
~3分間心のティータイム~

【第776話】「23回忌」 2009(平成21)年7月11日-20日

ajisai.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第776話です。
 昭和62年7月17日に"昭和の大スター"石原裕次郎さんは、52歳で亡くなりました。今年が23回忌にあたります。裕次郎さんの菩提寺は曹洞宗の二大本山のひとつ横浜市鶴見区にある總持寺ですが、この度の23回忌法要は7月5日に東京の国立競技場で行われました。
 グラウンドには大本山總持寺の本堂を模したセットが組まれました。高さ約17メートル、間口約36メートルというものです。120名の僧侶の読経の中、11万6千人もの方が花を捧げて、裕次郎さんを偲んだそうです。主催した石原プロモーションによると、今回は一般向けの最後の法要と位置付けているようです。それにしても20億円もの経費をかけているとは、裕次郎さんの存在の大きさが際立ちます。
 一般的な年回供養といわれる法事は、1周忌、3回忌、7回忌、13回忌、17回忌、23回忌、27回忌、33回忌というふうに営まれます。1周忌を除いては、亡くなったその年の命日も数えて何回忌と呼ばれます。ですから、3回忌は丸2年目に行い、23回忌は丸22年目になるわけです。実は、どういうわけか、23回忌は忘れられやすいのです。徳本寺のささやかな毎年のデーターをみても、1周忌、3回忌、を忘れる方はほとんどいません。ところが、その後年数を経るに従って、法事の件数が減っていくようです。一番少ないのは27回忌で、その次が23回忌です。33回忌になると、供養の大きな節目と捉えているのでしょうか、少し増えてきます。
 20億円もかければ、23回忌であろうが27回忌であろうが、忘れずに何万人も集まってくれるかもしれません。勿論故人を偲ぶのに、お金をかければいいというものではありません。どのように偲ばれるかは、どのように生きて亡くなったのかということであり、そして残された人々の心の中にどう生きているのかということなのでしょう。この世で義理に篤い生き方をしていれば、亡くなって何十年経とうが、その義理を慕って手を合わせてくれるのではないでしょうか。その時、亡き人は言うでしょう。「この世の義理――世義理(よぎり)よ今夜もありがとう」
 ここでご報告いたします。6月のカンボジア・エコー募金は、129回×3円で387円でした。ありがとうございました。
それでは又、7月21日よりお耳にかかりましょう。

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