テレホン法話 一覧

第746話 「赤ペンキと閼伽水(あかみず)」(2008.9.11-9.20)

「70年、80年生きて、最後に石に刻まれるのは、たった1つの日付けだけ」と、言った人がいます。いわゆる「命日」のことを指したのでしょう。確かに私たちは、せいぜい百年くらいの限られた時間しか生きられません。だからこそ、その後の世界に、何がしの思いを託すのかもしれません。「石に刻む」といのは、ある意味、いつまでも変わらず残っていくだろうという期待が込められているわけです。
 勿論、どんな堅い石でも、永遠不変ということはなく、長い歳月をかけ風化はします。それはともかく、「墓を造る、石に刻む」というのは、有限から無限への願いでもあるような気がします。
 その墓石に、あろうことか赤ペンキで落書きをするという事件が起きました。
9月5日朝、富山市営墓地「富山霊園」の墓石や燈籠など170基に、赤いペンキで書かれた「○」印や「×」印、卑猥な言葉などの落書きが見つかりました。白御影石に殴り書きされた赤ペンキは不気味な感じさえします。いったい誰が何のために、このようなことをしたのでしょう。被害者の言葉でなくとも「こんなことをして、ばちがあたる」と、言いたいところです。
 また今回の事件の2ヶ月程前、デンマークのコペンハーゲンで、かの有名な童話作家アンデルセンの墓など複数の墓石に落書きされ、世界のニュースになりました。これは当局に不満持つ若者たちの、報復行為とみられています。
 いかなる理由があろうとも、墓石を落書きなどで汚すとは、永遠(とわ)の眠りについている死者に対する冒瀆です。また、そのお墓をお参りする方々に、どれだけの不快感や不安感を与えるかわかりません。お墓に書き・・などという悪あがき・・をするような者は、がき・・そのものです。
 お墓にかけてはいいのは、赤ペンキではなく「閼伽水」です。「閼伽」とは、お経の言葉で水を指します。水は生命の源です。お墓に眠るご先祖さまも、水と同じように、私たちに生命をもたらして下さいました。そのことに感謝して、「いのちの水」をお墓にかけて、手を合わせるわけです。
 お彼岸のお墓参り。刻まれた命日を改めて確認し、命日から命日へ、永遠に「命のリレー」が続くよう念じたいものです。人類の悲願・・として・・・
 ここでご報告致します。8月のカンボジア「エコー募金」は214回×3円で642円でした。ありがとうございました。
 それでは、又9/21よりお耳にかかりましょう。

第745話 「合掌(がっしょう)・決勝(けっしょう)・吉祥(きっしょう)」 (2008.9.1-9.10)

 北京オリンピック第13回目、ソフトボール日本チームは、変則トーナメントの準決勝で、アメリカに延長9回の末、1対4で敗れました。その約4時間後、更なる死闘が待っていました。
 決勝進出をかけてのオーストラリア戦です。上野投手の力投もあり、2対1でリードし、最終回の7回表オーストラリアの功撃もツーアウト。あと1人のアウトで勝利を手にするというとき、同点ホームランを打たれ、延長戦へ。11回表オーストラリアが1点勝ち越し。しかし、その裏日本も1点返し、再び同点。12回裏、日本はワンアウト満塁の好機に西山選手が右中間にサヨナラヒットを放って、3時間半近い激戦に決着をつけました。
 この時、サヨナラのホームベースを踏んだのは3塁ランナーだった三科選手です。彼女はサヨナラゲームの歓声が沸く中、ちょこんとホームベースに乗り記念すべき1点を印しました。そして、何とホームベースに向って、手を合わせ、頭を下げたのです。
 長かった戦いがやっと終わったという思いで、お世話になったグランドに感謝の気持ちを表したのでしょうか。チームメイトの粘り強い戦いを称えたのでしょうか。あるいは、相手チームに対して労をねぎらったのでしょうか。いずれにしても、とてもさわやかな合掌の姿でした。
 オリンピックはじめ、様々な試合で、日本人も外国人も勝利すると、握りこぶし高く掲げ、いわゆるガッツポーズを取る人がほとんどです。中には、外国選手で敬虔なクリスチャンなのでしょうか。胸のところで十字を切る人も見かけます。
 スポーツほど自分の実力に頼らざるを得ないものもありません。
 どんなにすばらしい監督がいて、何万人の応援があったとしても、試合上では、誰も手を貸してはくれません。自分の力で闘うだけです。それでも実力を発揮できるのは、目に見える見えないにかかわらず、多くのおかげがあればこそなんだと、感謝の気持ちを忘れないことは大事です。自分の力プラスおかげの力があると思えば、これほど頼りになるものはありません。おかげは無限なのですから。
 三科選手のホームベース上の合掌は、またこのホームに帰ってくるから見守っていてね、と言っているかのようでもありました。事実、翌日のアメリカとの決勝戦で、三科選手は3回表2塁打を放ち、先制のホームを踏みました。それは金メダルへの確実な一歩となりました。合掌は決勝につながり吉祥をもたらしようです。
 それでは、又9/11よりお耳にかかりましょう。