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【第1095話】 「二刀流」 2018(平成30)年5月21日-31日

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1095.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1095話です。

 投手で4番打者という野球の申し子のような2人の少年が、PL学園野球部で出会いました。そのひとり清原少年は、その場で投手になることを諦めました。相手の桑田少年の投球を見たからです。桑田少年は、清原少年の打撃には敵わないと思い、投手の道を進みます。そんな2人はプロ野球でも打者として、投手としてそれぞれ名を残しました。

 少年野球や高校野球の段階では、投手で4番打者は珍しくありません。しかし、プロ野球のレベルでは、打者と投手の両立は難しいでしょう。打者に専念しても、ホームラン1本を打つこともたいへんです。チーム全員が打者になれますが、投手はひとり。投げることに専念するのが得策です。

 今からちょうど100年前の1918年、大リーグのベーブ・ルースが、投手として13勝をあげ、11本塁打を放ちました。これは大リーグでも1シーズンで2桁勝利2桁本塁打を達成した唯一の記録です。大谷翔平選手はそれ以来となる記録を、日本のプロ野球デビュー2年目で打ち立てました。2014年日本ハム時代の、11勝10本塁打です。その後も投手としてプロ野球最速の165キロを記録したり、22本塁打を打つなど打者としての活躍も光りました。その実績をもって、今シーズンから、念願の大リーグに移籍し、エンゼルスの選手になりました。

 そして、投手と打者の「二刀流」旋風を巻き起こしています。シーズンが始まったばかりですが、5月17日現在、3勝1敗、6本塁打と野球の本場アメリカの野球通も舌を巻く活躍です。確かに、才能や恵まれた体格もあるでしょう。しかしそれだけでは、プロでは誰も挑戦していない二刀流で結果を残せるわけがありません。

 大谷選手の根底にあるのは、ゴロを打たせゴロを打たないという極めてシンプルな野球の原点です。ボールを投げるのも打つのも好きだという野球少年の喜びを常に忘れていません。素直に野球が好きだという一点なのでしょう。だから練習もやりたいと思ってやっているだけで、無理はしないが無休を貫く。つまり休まずトレーニングに打ち込むと言います。

 私たちは大人になるにつれて、分かったふりをすることが多くなります。勝手に限界を定めがちです。野球選手もプロに向かうにつれ、その想いを抱くことでしょう。勿論プロは一つのことを極めるのですから、簡単に何かを諦めている一般人のレベルとは違うでしょう。大谷選手は高校の野球の恩師に言われた「100%の力を出すためには、200%の準備をしろ」ということを心がけているそうです。しかし倍の練習をすれば二刀流になれるというものではありません。少年の時の素直に野球が好きになった、その素直さを日々極めていこうという姿勢が、二刀流たらしめているいる気がします。「素直な子 名を成す(スナオナコナオナス)」上から読んでも下から読んでも同じ回文ですが、内容は大谷選手そのもの。生涯野球の申し子であらんことを・・・。

 それでは又、6月1日よりお耳にかかりましょう。

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