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【第1084話】 「クローン」 2018(平成30)年2月1日-10日

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1084.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1084話です。

 中国で「中中(チョンチョン)」と「華華(ホワホワ)」と名付けられた2匹の動物が誕生しました。パンダではありません。サルです。全く同一の遺伝子を持つ個体群をクローンと言いますが、そのクローンのサルが誕生したのです。哺乳類の体細胞クローンは羊や牛などで誕生していますが、霊長類では初めてです。

 今から22年前の1996年、世界初のクローンの羊の「ドリー」が、イギリスで誕生しました。当時、霊長類では技術的に難しいとされていました。しかし、いずれ人間にも応用できるということで、その技術の是非をめぐって、世界各国で論争が巻き起こりました。早い話が、独裁者が自分のコピーのクローン人間をつくったらどうなるのか。女性が自分の遺伝子だけを持つ子どもを産んで、男性不要の世の中になる、などというSFの世界の実現が可能になるのです。幸いにして、体細胞のクローンをヒトに試すことは、日本を含む多くの国の法令で禁じられています。

 しかし現実的な話をすると、ドリー誕生2年後の1998年に、アメリカでこんなことがありました。ある富豪が自分の愛犬のクローンを作ってくれるよう、研究所のある大学と契約しました。その金額は3億3千万円。愛犬はミッシーという名で11歳の雌。飼い主の富豪は、捨てられて保護センターにいたミッシーを、生後4カ月の時に引き取り、すっかり気に入って、クローンをつくる契約に及んだというのです。現在のミッシーが亡くなっても、クローンのミッシーがいれば、その命は永遠に続くということでしょうか。お金持ちのお遊びと言いたいところですが、今や夢ではなくなっています。ただ、いずれは飼い主もクローンでなければならなくなるでしょう。

 きわめて現実的な話に戻します。咲いている花はどうしてきれいなのでしょう。それは、やがて散るからです。造花ではどんなにきれいでも、毎日見続けていたら、1年もしないうちに飽きてくるでしょう。人間も不老長寿は究極の夢かもしれませんが、死なない命を持ったら、暴飲暴食スピード違反など、滅茶苦茶な人生を歩む人であふれるかもしれません。

 命の輝きは、限りあって、かけがえがないからです。命がふたつもみっつもあったら、おそらくは粗末に扱ってしまうでしょう。自分もまわりも、モノ扱いになりかねません。「命懸け」という言葉もなくなるでしょう。命懸けとは、死ぬ覚悟で事に当たることです。クローンというコピーの世界では、その緊張感がなくなり、コピー機の印刷のように、使い捨ての風潮が蔓延するおそれがあります。少なくとも命においては、コピーつまり複写拍車をかけずに、ブレーキをかけるべきです。

 ここでお知らせ致します。10年間のテレホン法話ライブを紙上再現した『月を流さず―和尚の語り草―』が出版されました。電話ではお伝え出来ない法話に因んだ写真も掲載された読みやすい本です。定価1500円。ご希望の方は徳本寺までお申し込みください。電話0223-38-0320です。ホームページからの場合はこちらをご覧ください。

 それでは又、2月11日よりお耳にかかりましょう。

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