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【第1073話】 「震災が忘れない」 2017(平成29)年10月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1073話です。

 「『災難は忘れた頃にやってくる』ではなく、『災難は忘れるからこそ、災難となるのだ』」と言ったのはむのたけじです。確かに名言です。しかし、災難は忘れても忘れなくてもやってくるものだということを、先月起きたメキシコ地震で痛感させられました。

 9月19日昼、メキシコ中部でマグニチュード7.1の地震が発生。300人以上の死者が確認され、壊れた住宅や学校は2万8千以上と言われます。実は32年前の1985年9月19日にもメキシコでは大地震が発生しています。そのため、メキシコ市内では発生日に合わせて大規模な避難訓練が行われたところでした。その2時間後に、再び大地震に襲われたのです。

 32年前の地震では、メキシコ太平洋岸が震源で、マグニチュード8.0でした。震源から400キロメートルも離れたメキシコ市で被害が甚大でした。死者は1万人以上で、420のビルが崩壊しました。その後、避難訓練をはじめ、様々な地震対策が講じられてきたはずですが、悲劇は繰り返されました。

 驚いたことには、メキシコ市はもともと湖の上に築かれた都市なのです。水抜きをして埋め立てた土地だから、地盤が軟弱で地震に弱いのだそうです。どんなに耐震性に優れた建物であっても、建っている地盤が弱ければ、元も子もありません。

 平日のお昼ということもあって、学校での大きな被害が報じられました。生徒300人以上の幼稚園・小中学一貫校で3階建ての校舎が崩れ、数十人が生き埋めになりました。そんな中で「倒壊した校舎の中に少女がいる」との情報が流れました。多数が死傷した震災の中で、「希望の象徴」として注目を集めました。少女の具体的な名前まで挙げて、「少女の指が動くのを見た」「ホースで水をあげた」「ほかにも生存者がいる」といった情報が錯綜しました。しかし、同じ名前の生徒が学校にいないことが判明し、亡くなった生徒を含め全員の安否が確認され、そもそも少女は存在しないとわかりました。

 32年前の震災の教訓は活かされなかったのかと、疑問に思うところもあるかもしれません。しかし実際の震災現場は想像以上に混乱しています。東日本大震災でそれは、十分にわかりました。そしてあの時も、一人でも多くの命が無事でありますようにと祈りました。切なる願いが誤報に結びついたとしても、誰も責められません。毎年震災発生日時に、犠牲者を追悼したり、避難訓練をすることによって、何十年経とうが震災そのものが、我々を襲うことを忘れないのだと確信する日にしたいものです。

 ここでお知らせ致します。来る10月29日(日)午後2時より徳本寺において、第11回テレホン法話ライブを開催致します。ゲストは歌手の高橋佳生さん。入場無料。お茶を飲みながら、ピアノの調べにのせて語る法話や歌をお楽しみください。それでは又、10月21日よりお耳にかかりましょう。

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