法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

第1054話】 「甘露 甘露」 2017(平成29)年4月1日-10日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1054話です。

 甘露飴でおなじみの甘露は、中国やインドの伝説にある、めでたいときに天が降らせる甘い露のことです。仏教では天の神々の飲み物とされ、仏の教えのたとえとも言われます。なるほど、お釈迦さまがお生まれになった時に、甘い雨が降り、それを産湯としてお身体を浄められたと伝えられています。

 今から2500年ほど前の紀元前463年の4月8日に、お釈迦さまは釈迦族の王子としてお生まれになりました。この日お寺では、甘い雨の故事にならって、誕生仏に甘茶をかけてお祝いをします。そのお姿は、右手で天を左手で地面を指さしています。そして甘露を浴びて最初に発した言葉は「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」です。天にも地にも我ひとりが一番尊いということです。勿論これは、自分だけが尊いということではありません。世の中の全ての人が、それぞれこの上なく尊いということです。

 さて、甘露の雨といくら言われても、この日だけは雨も雪も降らないでと願う日はあるものです。3月27日がそうでした。その日は東日本大震災で本堂等の伽藍がすべて流されてしまったもう一つの住職地徳泉寺の地鎮式だったのです。全国2千人余りの人から寄せられた「はがき一文字写経」の納経料が6,300口を超えて、何とか本堂再建の見通しが立ったところです。まだ十分な予算ではありませんが、写経の呼びかけを継続する中で、復興のスタートとして地鎮式を予定しました。建築敷地に竹の四本柱を立てたところが式場です。雨はいりません。

 しかし前日の夜から降り出した雨は、止むことなく、途中から霙模様になり、また雨に変わるという最悪の天候です。因みに翌日は見事に晴れました。地鎮式当日だけが終日雨降りだったのです。「雨降って地固まる」とは言いますが、降っている最中は、足場はぬかるみます。仕方なく儀式そのものは敷地傍のプレハブ寺務所で、窓ガラスを外して行いました。鍬入れだけは四本柱の清らかな土を盛ったところでなければなりません。雨に濡れながらも、力強く掛け声をかけて鍬を入れ、工事の無事を祈りました。

 めでたいとき天は雨を降らせると言われれば、確かに地鎮式はこの上なくめでたい日です。しかも一人ひとりが一番尊いというお釈迦さま誕生のお言葉を思うなら、全国から寄せられた一文字一文字が尊い写経です。その功徳のおかげで営まれる地鎮式ほど尊いものはないかもしれません。私は儀式の導師として、所感を述べる法語の結びに、「一滴の甘露 普く大千をを潤す」と唱えました。一滴の甘露でも十分に仏の慈悲を感じることができます。目の前に降り注ぐ無数の雨は、全国から寄せられたたくさんの写経に思え、それは祝福でもあり、悪天候のような困難にも負けないでという励ましにも感じられました。本堂完成の暁にはみなさまと祝杯を挙げて、「ああ、甘露、甘露」と言いたいものです。

 それでは又、4月11日よりお耳にかかりましょう。


 ※「はがき一文字写経」をご希望の方はこちら  徳泉寺 写経ページ


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