法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第1049話】 「涅槃の月」 2017(平成29)年2月11日-20日

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1049_1.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1049話です。

 「願はくは 花の下にて春死なむ その如月(きさらぎ)の望月のころ」西行法師の有名な歌です。如月は2月、望月は満月のことで、陰暦の2月15日を指します。まさにお釈迦さまが亡くなった日です。そして、西行法師はこの歌の如く、建久元年(1190)2月16日に亡くなっています。あたかも辞世の歌のようですが、実際は亡くなる10年も前に作られていたようです。亡くなる今いまの心境ではなく、自分の望む最期の時、即ちお釈迦さまと同じ日に旅立ちたいと願った歌でしょう。実際その通りになったのですから、驚きです。

 お釈迦さまが亡くなった時の様子は、涅槃図に描かれています。この時期、お寺では本堂に涅槃図を掲げて、お釈迦さまのご遺徳を偲びます。涅槃図には亡くなった2月15日を象徴するように、大きな満月が描かれています。たいていは絵の上部真ん中に位置し、白っぽい色合いです。ところが徳本寺の涅槃図の月は、赤い月です。太陽と見間違うほどですが、決して太陽であるはずはありません。遺教経に「沙羅双樹の間において、将に涅槃に入りたまわんとす。この時中夜寂然として声(おと)無し」とあるように、お釈迦さまは、夜更けの静まり返った沙羅双樹の間で、最後の教えを弟子たちに説いて亡くなられました。

 さてふつう月は白か黄色に見えます。ところが赤く見えるときもあるのです。それは地平線近くにあるときだそうです。光は青から赤まで様々な色が混じって、全体としては白っぽく見えます。青い光は大気を長く通過するうちに散乱しますが、赤は散乱し難いそうです。地平線近くでは大気の層が厚いため、赤い色だけが視界に入ることになります。また、地上に湿った暖かい空気があるときも、赤く見えやすいと言います。それは気象が不安定なときでもあります。そんなとき異常なことが起こらないとも限りません。だからでしょうか、赤い月は不吉なことが起こる前ぶれだなどといわれることがあります。しかし直接の因果関係は考えられません。

 それにしても、徳本寺の涅槃図の月はどうして赤いのでしょう。満月は余ることなく欠けることのないお釈迦さまの教えの象徴でもあります。そのことを更に強調したいがためでしょうか。もしかしたら、赤い月のもうひとつの言い伝えである、赤い月を見ると願い事が叶うということを表したかったのでしょうか。いずれにしても満月はお釈迦さまの尊い教えで、私たちの悩み苦しみという心の闇を照らして下さるものです。

 そういえば、今年生誕450年を迎える伊達政宗の辞世の歌はこうです。「曇りなき心の月をさき立てて 浮世の闇を照らしてぞ行く」お釈迦さまの心境のようです。西行といい政宗といい、その道を究めて、突き(月)進んだ生涯が偲ばれます。

 ここでお知らせ致します。1月のカンボジア・エコー募金は、218回×3円で654円でした。ありがとうございました。
 それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。

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