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【第1034話】 「琴線感覚」 2016(平成28)年9月11日-20日

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1034.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1034話です。

 「永さん、私が亡くなったら、葬儀委員長を務めると言っていたのに、当てが外れてすみません」と、黒柳徹子さんは語り始めました。先月30日東京の青山葬儀所で行われた永六輔さんのお別れの会でのことです。60年来の友人ということで、発起人代表の黒柳さんが、真っ先にお別れの言葉を述べました。

 永さんとのこれまでのご縁で、私もご案内をいただき参列致しました。司会の北山修さんから、次々とお別れの言葉を述べる方が紹介されます。下重暁子さん、久米宏さん、中山千夏さん、遠藤泰子さん小林亜星さんなど錚々たる方が、永さんとの濃密な時間の一端を披露し、故人を偲んでいました。みなさんは一様に、永さんのいない世の中はつまらない、こんな時代だからこそ、もっと永さんに生きていて欲しかったというような想いを伝えていました。

 現代は様々な災害が日常的に起き、争いの絶えない世の中です。身体の不自由な方は、普段でも弱い立場にあります。事が起これば、更に追い打ちをかけられることがあります。永さんは、そんなとき弱い立場の人たちにも、すぐに手を差し伸べられるようにと、「ゆめ風基金」を作り、障害のある方へのボランティアにも力を尽くしました。便利さや数字を追い求めることが、生きるすべてではないよ、見過ごされていることにもっと目を向けようよと、いつも警鐘を鳴らしていました。

 親族を代表して、娘の永麻理さんは「本日は本会場に入りきれない方は、第二会場にも大勢参列をいただいております。本会場の方には申し訳ありませんが、父がこの場にいたら、きっと第二会場の方により心を向けていたはずです。父はいつも不自由を強いられている方や弱い立場の方を支えたいという生き方をしていました」と挨拶なさっていました。

 永さんの言葉に「文明は、人間がここまで出来るということを示し、文化は、ここまでやってはいけないと教える」というのがあります。私早坂文明は、ここまで出来るという何ものも示すことはできません。しかし、世の中は今お聴きいただいている電話をはじめ、文明の利器は進化し続けています。ロボットに人間と同じような感情を吹き込むことさえ可能になるかもしれません。さて、僧侶たる早坂文明はどのように対応したらいいのか、永さんにお聴きしたいのですが、もう叶いません。

 お別れの言葉の最後は、ピアノ演奏に合わせて歌うジェリー藤尾さんの「遠くへ行きたい」でした。歌い終わってジェリーさんは言いました。「だめだ、泣けちゃったよ」。確かに歌の後半は、声が上ずっているように聞こえました。永六輔さんが作詞した歌という文化がこれだと思いました。人は、心の琴線に触れる行いを目指し、琴線を錆びつかせない「琴線感覚」を養うことで、人間らしさを見失わずにいられるのでしょう。

 ここでお知らせ致します。8月のカンボジア・エコー募金は、226回×3円で678円でした。ありがとうございました。
 それでは又、9月21日よりお耳にかかりましょう。

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