法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第1031話】 「蓮の器」 2016(平成28)年8月11日-20日

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1031.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1031話です。

 お盆は正式には盂蘭盆(うらぼん)と言います。インドの言葉で逆さ吊りの苦しみを表す「ウランバーナ」が、その語源です。お釈迦さまの弟子の目連尊者の亡きお母さんが、あの世で食べ物を口にすることができず苦しんでいました。神通第一と言われた目連尊者の力を以ってしても、母親を救うことができず、お釈迦さまに相談します。インドでは雨期の間、一ヵ所に留まって修行していた僧侶が、修行明けの7月15日に山を下りてきます。その時多くの僧侶に供養して、お経を挙げてもらうように言われます。教えの通りにすると、母親が苦しみから救われました。目連尊者の親を思う孝行心にあやかって、7月15日にご先祖を思い仏と僧侶に供養する行いが、盂蘭盆になりました。8月は単に月遅れのお盆ということです。

 さて、お盆には亡き人をお迎えする意味も込めて、お盆棚に様々なお供えが揃えられます。夏野菜の代表であるキュウリとナスは欠かせません。というのも、キュウリとナスに柳の箸などで足を付けて、馬と牛に見立てます。キュウリの馬に乗って早く帰って来てください。戻るときはナスの牛に乗って、ゆっくりお帰り下さい。そんな意味が込められています。

 また、キュウリとナスをさいの目に切り、洗ったお米を混ぜて、蓮の葉を敷いた器に盛り付けます。これを「水の子」と言います。お盆に帰ってくるすべての精霊にいきわたるようにという思いと、特に縁(ゆかり)のない方にも広く供養するという、まさに盂蘭盆の心のあらわれからです。その他に、我が故郷では、餅やそうめんなどをやはり蓮の葉にのせてお供えします。その昔は、お供えしたものを16日の送りお盆に、蓮の葉に包んで川に流したこともあったようです。

 蓮はインド原産の水生植物で仏教のシンボルの花です。仏像や位牌の台座も蓮の花の形をしています。「泥中の蓮」のたとえの如く、泥水が濃ければ濃いほど、大輪の花を咲かせるそうです。仏教では泥水を、人間の持つ煩悩や困難や悲しみと捉えています。泥の中にあっても、仏の教えを信じて、清らかな心を持ち続け、いつかは大輪の花を咲かせましょうということです。大輪の花とは、今自分は幸せだと実感できることではないでしょうか。勿論自分の周りの人も幸せだから、自分の幸せも感じられるということです。

 ウランバーナという苦しみから救った因縁が盂蘭盆即ちお盆になりました。お盆はお供えをするとき使う器でもあります。そして中国ではこのお盆を「救器」と解釈して、苦しんだり困っている人を救うために、然るべきものを載せて差し出す器とみなしています。蓮の葉という器にお盆のお供えをすることは、普段自分勝手でわがままな行いをして、さかさまの心になっている我が苦しみこそ救ってくれるものなのかもしれません。そのことにやっと気づいたかとお盆で帰って来られたキュリー夫人やナスの与一のようなご先祖さまに、喜んでもらえるでしょうか。

 ここでお知らせ致します。7月のカンボジア・エコー募金は、202回×3円で606円でした。ありがとうございました。

 それでは又、8月21日よりお耳にかかりましょう。

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