法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第1017話】 「感謝の一灯」 2016(平成28)年3月21日-31日

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1017_1.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1017話です。

 遠くからみると、それは暗闇に咲く大輪の光の花のようでした。東日本大震災から5年という3月11日の夜、徳本寺中浜墓地跡に建つ千年塔前の広場に、全国から届いた「竹あかり」が灯されました。あたり一帯は震災以降、災害危険地域となり、あかりがともることがなかったところです。空には星が瞬き、三日月が架かり、あの夜を思い起こさせます。

 千年先まで大震災を伝えたいという思いで建てられた日本最大級の五輪塔である「千年塔」前は、津波で犠牲になった大切な人や友だちを偲ぶ灯(あかり)の広場ということで、「友偲灯(ともしび)広場」と名付けられました。広場の中央には、襲って来た津波の高さほどある13メートルのポールが立っています。その頂から放射線状に何十本ものロープが張り巡らされました。そこには、これまた全国から寄せられた黄色いハンカチが数えきれないほどはためいています。ポールを包むように巨大な竹のオブジェがライトアップされています。まわりには600を超える竹あかりが灯されました。千年塔を拝む先に見える光景は、息をのむほど幻想的でした。1017_2.jpg


 熊本県の「ちかけん」というグループが、まちづくりの一環として、竹にあかりを灯して空間を演出する活動を行っています。みんなで作った竹あかりで東北を明るく灯そうということで、千年塔の前で展開されたのです。一節サイズの竹にドリルで思い思いに穴をあけて模様を作ります。その中のキャンドルにあかりが灯されると、蛍の群舞の如くに見えて、暗闇は一転して、華やかな舞台になりました。

 集まった人々は、鎮魂のお経が流れる中、お焼香をし、竹あかりを通して亡き面影を偲びました。ひとつのあかりだけを見つめていると、追悼の気持ちになり、全体のあかりを見渡せば、復興への希望が湧いてくる不思議な体験でした。

 『賢愚経』というお経の中に、「貧者の一灯」という説話があります。貧しいながらも信仰心厚い老女が、なけなしの金銭をはたいて、お釈迦さまに灯明をお供えしました。その夜、大風が吹いて他の金持ちが供えた灯明は消えても、老女の一灯のみは消えませんでした。「心から信仰して供える灯明は消えるものではない。その老女は未来には人々から尊敬される存在になろう」とお釈迦さまは言われました。強い信念は決して吹き消されないというたとえでもあります。

 この度の竹あかりを届けて下さった方々は「貧者」ではないでしょうが、亡き人を偲び、震災を忘れないと誓い、復興を目指す強い信念をあかりに託してくれました。そのあかりは、復興へ向かう人々の心に灯り、消えることはないでしょう。私たちにとっては、「貧者の一灯」ならぬ「感謝の一灯」です。

 ここでお知らせ致します。テレホン法話の千話を記念して、テレホン法話集『千話一話―3.11その先へ』(定価千円)が発売されました。千人の人が描かれた錦絵のような表紙が評判です。書店もしくは徳本寺でお求めください。徳本寺にはこちらからお申込み ください。

 それでは又、4月1日よりお耳にかかりましょう。

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