法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第1016話】 「大樹からの拍手」 2016(平成28)年3月11日-20日

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1016.jpg  お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1016話です。

 ボランティアの究極の目的は、ボランティアがなくなることだ、と言った人がいます。ボランティアなど必要のない、誰もが安心で平穏に暮らせるなら、それに越したことはありません。しかし、現実はいつ災害が起きるかわからず、地球上で戦火の絶えることはありません。

 東日本大震災が発生してすぐに、三部さんという山形の知り合いの和尚さんは、宮城県にボランティアで入りました。車で何度も被災地に通ううちに、人々の悲しみ辛さは分かるが、クスッと笑ってもらえるようなことがあってもいいのではないか。そう思った時、「まけないタオル」のアイディアが生まれました。普通のタオルより短めで、首にも頭にも巻けないが、大震災にも「負けない」という思いを込めたものです。青いタオルに白く「まけない!」と力強い文字が染め抜いてあります。青い空に浮かぶ白い雲で「希望」を表現しているのです。

 このタオルを広めるために歌を作ろうと、私が歌詞を書き、奈良県の歌う尼さんこと、やなせななさんが、曲を付け、歌って下さいました。歌の力は大きく、やなせさんが全国で「まけないタオル」を歌い、多くの支援をいただきました。支援した方も被災地の方も同じタオルを持って、負けない気持ちでつながろうと、これまで8万5千枚のタオルが配られました。

 「まけないタオル」という名前が、駄洒落から生まれたことを知ると、誰もがクスリとほほえみました。タオルで涙を拭った人もいたことでしょう。タオルを枕カバー替わりにして、明日を夢見た人もいたそうです。大震災から5年が過ぎ、当初のタオルの役割は果たしたということで、「まけないタオル」の運動は、一応終えました。

 「まけないタオル」の3番の歌詞はこうです。「うつむかないで みんなで希望の雲つかむ まけないタオルを 空に投げ上げて ほら 拍手が響く新しい舞台に」。もう「まけないタオル」がなくても大丈夫。負けないで生きていけるよ。希望に満ちた新しい舞台に立っているのだから。そんな日が一日も早く来ることを願って書いた歌詞でした。「まけないタオル」の究極の目的も、タオルが必要でなくなることだったのです。

 ただ、残念なこともあります。3番の歌詞は「大樹にまけない根っこのこころ 揺るぎはしないから」と続くのですが、そのモデルになった欅の大樹が、最近元気がなくなったのです。まわりの家は流されても、大津波に耐えて被災地の我々を励ますかのように立ち尽くしていた樹齢400年の命です。「まけないタオル」が必要でなくなっても、復興はまだ道半ばです。これ以上にない困難な5年間という肥しを糧に、これからも揺るがず生きて行けるよう、見守って欲しいのです。緑の葉が茂り、風にそよぐ音をあなたからの拍手と思いたいのです。

 ここでお知らせ致します。2月のカンボジア・エコー募金は、397回×3円で1,191円でした。ありがとうございました。

 それでは又、3月21日よりお耳にかかりましょう。

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