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【第1007話】 「一条鉄」 2015(平成27)年12月11日-20日

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1007_2.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第1007話です。

 山元町を走るJR常磐線は、今から118年前の明治30年11月に開通しました。鉄道を敷設するにあたり、中村(現在の相馬)から岩沼の区間を国道に沿い、集落を通る予定でしたが、沿線の人々の反対が強く、国道よりもはるか東の海沿いを通ることになりました。当時は蒸気機関車でしたので、その煙に対するアレルギーのようなものもあったようです。

 しかし、鉄道の開通は、人の移動、貨物の輸送に大きな効果をもたらしました。町内の坂元駅からは近海で獲れた鮮魚をはじめとして、木材・薪・炭・米・繭などが、仙台や東京方面に発送されました。年間の乗車客も4万人を超えていたと山元町誌で知りました。

 昭和37年にトラック輸送におされて貨物の取り扱いはなくなったものの、通勤通学になくてはならない鉄道でした。それが東日本大震災の大津波により、駅も線路も流されてしまいました。当初から内陸の国道沿いを走っていれば、ここまでの被害はなかったかもしれません。過ぎたことはともかく、震災以降、被災したJR常磐線の内陸移設工事が進められていました。その工事が順調に経過したため、平成29年春の開通という予定を早めて、平成28年12月末に運転再開するというJR東日本の発表がありました。来年の今頃は新しいレールを電車が走ることになります。復興の加速化が期待される大きなニュースです。

 「萬里一条鐵(ばんりいちじょうてつ)」という禅語があります。万里とは、時間空間を含む天地宇宙のことです。そこに一条の鉄、つまり絶対的な真理が終始一貫しているということです。鉄は仏性・仏心とも言えます。人は誰でも貫く鉄のような仏心を持っているという意味にもなります。更に一般的な解釈をするならば、どんな困難な状況にあっても信念を貫くという姿勢をあらわしているのでしょう。

 大震災は、鉄道ばかりではなく、大切な命、家屋敷などありとあらゆるものを失うという信じられない困難をもたらしました。その困難を超えて、個々人の復興も進みつつあります。そしてこの度の鉄道の前倒し開通決定です。被災地の人々が一貫して持ち続けてきた、諦めない心、挫けない心が、一足早い鉄の道を導いて来たのではないでしょうか。仏の道を志す人が、鉄の道を行くならば、鬼に金棒じゃありませんが、一条の鉄は揺るぎのない未来へと続くことでしょう。

 ここでお知らせ致します。テレホン法話の千話を記念して、テレホン法話集『千話一話―3.11その先へ』(定価千円)が発売されました。書店もしくは徳本寺でお求めください。徳本寺にはこちらからお申込みください。

 それでは又、12月21日よりお耳にかかりましょう。

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