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【第992話】 「仏壇という復興」 2015(平成27)年7月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第992話です。

 外国の方が日本の家庭を何軒か訪ねて驚いたことがふたつあります。ひとつは各家の中にチャーチがあるということです。もうひとつは、そのチャーチをお参りするのは、おばあさんだけで、他の家族は誰も手を合わせないということでした。チャーチとは教会のことですが、ここでは勿論仏壇のことです。そしてその仏壇はおばあさん専用のものになっていると、その外国人には見えたのでしょう。

 さて、東日本大震災以後、被災者の個人的復興の最終段階として、仏壇の安置というのが挙げられます。家屋敷を失った方にとって、避難所や仮設住宅にいるときは、仏壇を安置したくとも、住宅環境がそれを許しませんでした。何もかも流されてしまった中で、せめてご先祖さまのお位牌だけを安置して、手を合わせてこられた方がほとんどです。

 この春以降、仮設住宅から災害公営住宅等に引っ越す方が増えてきました。やっと自分たちが落ち着いて暮らせる新居に移ることができたのです。その引越しと同時に、仏壇も新しくなさっています。何軒ものお宅に伺い、御真入れのお勤めを致しました。魂の入ったご本尊さまやお位牌に手を合わせて、みなさんは仰います。「自分たちの住まいが決まらないうちは、不安でしたが、ご先祖さまの家がないというのも落ち着かないものです。ご先祖さまにも申し訳ないような気がしていました。これでやっと安心できます。やはり仏壇は心の拠りどころです」

 しかし、その新居に暮らしているのは、特に災害公営住宅では、老夫婦または一人暮らしのお年寄りです。子どもさんたちがいても、通勤通学の都合などの理由で離れて暮らしているという現状です。家族が所帯を別にするとすれば、仏壇を若い家族が守るとは考えにくいです。やはり、お年寄りが仏壇を守っていくようになるでしょう。

 冒頭に挙げた外国人の話は、昭和の時代に伝えられてきた、日本人の特異な信仰の一断面です。何十年もそのように過ごしてきた姿は、震災によって、更にくっきりと描き出されたような気がします。それでもどんな困難な状況でも、仏壇を整えたいという思いを持ち続けてこられたのは、立派な信仰心です。それがあったればこそ、復興に向かって来られたとも言えます。今は離れて暮らしている家族の方も、自分たちの原点も、復興の原点も仏壇にあることを忘れないで下さい。自分一人の命ではなく、ご先祖さまにつながる命だから大事にするのです。自分一人の故郷ではなく、ご先祖さまから受け継いだ故郷だから、復興しなければと思えるのです。

 ここでお知らせ致します。6月のカンボジア・エコー募金は、91回×3円で273円でした。ありがとうございました。

 それでは又、7月21日よりお耳にかかりましょう。

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