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【第986話】 「道徳の時間」 2015(平成27)年5月11日-20日

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986.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第986話です。

 小学校の頃の「道徳の時間」は、実に応用自在でした。時に自由時間、時に体育、時に授業時間が足りなくなった教科の穴埋めにもなったりしました。授業が必要ないほど誰もが道徳的な日常生活を営んでいたのでしょうか。のどかな時代でした。

 時は移り、今年度より学習指導要領の一部改正により、教科外活動であった小・中学校の「道徳」を「特別教科 道徳」として、教科へ格上げになりました。その授業用教材の「5年生の道徳」(文渓堂発行)という本に、あの「まけないタオル」が掲載されました。東日本大震災支援として山形の三部住職さんが発案した、50センチと短くて首にも頭にも巻けないけど、震災にも負けないというダジャレを込めたタオルです。苦しくても笑顔になって欲しいという発想から生まれました。被災地に届けるために全国の人に募金を呼びかけました。協力者にもタオルがプレゼントされます。被災者も支援する人も同じタオルでつながって、復興を願うというものです。

 この活動を広めるに当たり、歌を作ろうということになりました。私が作詞をし、「歌う尼さん」ことやなせななさんが作曲をして歌っています。全国各地で「まけないタオル」の歌を披露しながら、タオルを届けてきたのです。これまで7万枚を超えるタオルが配られました。タオルのユニークさとやなせさんの歌の力が大きかったのでしょう。

 そのやなせさんが、「5年生の道徳」に執筆を依頼され、「まけないタオル」の活動に触れながら、震災で亡くなった多くの人々を悼みつつ、未来ある子どもたちに呼びかけています。それは私がやなせさんに語りかけた言葉の一部でもありました。「震災で亡くなった人は、あの日食べた昼食が生涯で最後の食事となってしまったのです。私たちは三度の食事も、毎日生きていることも当たり前と思ってしまいますが、震災はそうでないことを気づかせてくれました」そんな内容でした。それを踏まえて、やなせさんは「かけがえのない今この時の尊さにはなかなか気づけません。生かされている ''今'' を大切に」と教材の中で結んでいました。

 5年生の道徳の学習指導要領を見て、要点を挙げるとすれば、「善悪の判断」「思いやり」「規則の尊重」「生命の尊さ」でしょうか。道徳が教科へ格上げになった理由の一つには、世の中で「生命の軽視」が目立ってきたことが考えられます。元気な子どもに死を実感しろというのは無理かもしれません。しかし、人の命も猫の命も花の命も、それぞれひとつしかないことを実感できる子どもであって欲しいのです。そして時間も命と同じです。今日この日という時間は、ひとつしかありません。今日が過ぎれば、二度と戻ることはできないのです。だからひとつしかない「今という時間」を大切にしたいものです。それは大人にもいえる「道徳の時間」です。

 ここでお知らせ致します。4月のカンボジア・エコー募金は、80回×3円で240円でした。ありがとうございました。
 それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

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