法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第985話】 「善なるもの」 2015(平成27)年5月1日-10日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第985話です。

 「エベレストかつては1万5000メートルか」と「チョモランマ総合学術調査隊」が発表しました。今から16年前のこと。エベレストは8,848メートルで世界最高峰。約5千万年前にインドがアジア大陸にぶつかり、広域変成岩が盛り上がり堆積岩の地層を押し上げ、二重構造の山脈になったそうです。2千万年前ごろから、堆積岩が北側へ断層を作りながら、300万年間ゆっくりとずり落ち続けたと考えられていました。その決め手となる断層が発見されたのです。そして堆積岩の厚さは1万メートルになるから、結果エベレストは1万5000メートル以上あったというのです。

 エベレストの成り立ちを考えても、ヒマラヤ山脈のおひざ元、ネパールは「地震の巣」で、大地震の発生が懸念されていたといいます。そして4月25日にネパールを中心にマグニチュード7.8の地震が襲いました。エベレストでは雪崩も発生し、日本人を含む登山者も犠牲になっています。死者は5千人を超え、1万人に達する可能性もあります。10年前の2005年にも、ヒマラヤに連なるパキスタン側カシミールの山岳地帯で、マグニチュード7.7の地震が発生し、8万6千人の死者が出ています。

 さて、お釈迦さまが生まれたのはネパールで、現在のインドの国境に近いカピラヴァストゥのルンビニという花園です。勿論そのあと、修行をされお悟りを開かれたのはインドの地であり、仏跡の多くはインドに残っています。お釈迦さまが生まれたのは紀元前463年という説があり、今から約2500年前のことです。当時もネパールや北インドは「地震の巣」ではなかったのでしょうか。

 仏教学者によれば、お釈迦さまは80年の生涯の中で、地震や津波や火山噴火に遭遇されたという記録はないようだと言います。災害を受けた人々に対する説法は、お経の中には見られないそうです。そしてお釈迦さまは無一物の出家者ですから、被災している人に物質的支援は一切できなかったろうということです。

 しかし、お釈迦さまは臨終間際に、最後の弟子スバッタに対して「私は29歳で、何かしら善なるものを求めて出家した」と告げられたそうです。「善なるもの」とは、自分だけにとって善なるものということではありません。他のためにも、今ばかりではなく、未来のためにも「善なるもの」ということでしょう。それは「慈悲」という言葉に置き換えられます。慈悲の慈は喜びを与え、悲は苦しみを除くということです。

 ネパールという遠い国に支援に行ける人は限られています。しかし、日々お釈迦さまに手を合わせている私たちは、慈悲の心でネパールに善なるものが訪れるように祈り続けましょう。そして無一物に成りきれていない私たちですから、何がしかの支援の心も届けることができるのではないでしょうか。

 それでは又、5月11日よりお耳にかかりましょう。

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