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【第983話】 「3.11という新年度」 2015(平成27)年4月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第983話です。

 4月、年度初め。しかし、私の個人的な年度の始まりは3月11日というつもりでいます。勿論、東日本大震災以前には思わなかったことです。

 あの日は、もう一つの住職地である徳泉寺の檀家総会が本堂で開かれていました。午後1時30分に開会し、1時間ほどで閉会。総代さんと後片付けをしている時に、2時46分の大地震に襲われました。ただならぬ揺れに、とにかく避難をということで、後片付けもそこそこに寺を離れました。それから1時間もしないうちに大津波に襲われ、本堂も流され、ほとんどの檀家さんの家屋も壊滅状態となりました。あたり一帯は災害危険区域となり、住まいすることができません。

 毎年3月11日が来るたびに、震災以前の故郷を思い、震災後の現状に溜息をついてきました。同時にその日をある意味でスタートの日と捉えて、今年こそは少しでも前に進めるようにと、気持ちを奮い立たせてもきました。

 今年も震災の日と檀家総会の日が巡ってきました。檀家総会は都合により、3月末日に行われました。檀家さんも少しずつ落ち着くところが定まりつつあります。例年よりは明るい雰囲気で議事が進行しました。最後の議題として、本堂の再建について提案しました。この4年間で一番の迷いは現地再建ができるかどうかでした。人が住まいできないものの、建物を建てることは可能です。しかし、そういうところに、お寺が存在しても意義があるのだろうかという疑問です。新天地への移転も考えましたが、現実問題としては、然るべき土地を確保することは、夢のような話です。

 現地に再建して、復興のシンボルとしてお寺があれば、住まいがなくなった人も、故郷を訪ねやすいのではないかと考えました。そこに集う人々が多目的に利用できる場所となれば、生きたお寺としての意義があります。何より本堂は流されたものの、本尊さまは奇跡的に発見され、新たに「一心本尊」と名付けられ広く紹介されました。早く復興して下さいという願いを込めた「はがき一文字写経」の納経志納が、全国から寄せられて、4500口を超えています。難を逃れた本尊さんの功徳が、みなさんの心の拠りどころとなり、故郷の災難を鎮めてくれると信じれば、現地再建しかありません。

 檀家さんもこの日を待っていたとばかりに、全員賛同して下さり、復興に向けて具体的な図面が描かれ、震災5年目の新年度が始まりました。「逃げない はればれと立ち向かう それが僕のモットーだ」岡本太郎の言葉です。津波が来たら逃げますが、一心本尊さまと共に、故郷の明日に立ち向かいましょう。

 ここでお知らせ致します。3月のカンボジア・エコー募金は、82回×3円で246円でした。ありがとうございました。

 それでは又、4月21日よりお耳にかかりましょう。

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