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【第980話】 「般若の風」 2015(平成27)年3月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第980話です。

 「般若心経」は262文字で、比較的短いお経といえます。一方般若心経の原典ともいえる「大般若経」は、約480万文字で600巻もあります。一字一句読むのは至難なことです。そこで「転読」と言って、お経本を扇のように広げて読む作法が、古来より行われてきました。

 東日本大震災から丸4年が経とうとしている3月8日、徳本寺本堂で復興祈願法要と大震災で亡くなられた方の慰霊法要が行われました。10人を超える亘理郡内の和尚さんにより、勢いよく大般若経の転読がなされました。お経を読む代わりに呪文を唱えながら転読します。「諸法皆是因縁生(しょほうかいぜいんねんしょう) 因縁生故無自性(いんねんしょうこむじしょう) 云々」と唱えて、1巻ずつ転読されていきます。一斉に扇のように経本が広げられる様は見事であり、そこに「般若の風」も感じます。

 大般若経は中国の玄奘三蔵法師が、今から1400年ほど前に16年の歳月をかけてインドから持ち帰ったものです。更に4年かけて梵語から漢訳され、今に伝わる「大般若経」になっています。様々な困難や危険を乗り越えてインドから伝えられたこのお経の文字通りの「有り難さ」は、誰もが感じたことでしょう。日本でも災害消滅や病気平癒などを祈願するときに、大般若経が転読されてきました。

 そのお経には仏教の根本思想ともいえる「空」の教えが説かれています。呪文にあるように、「諸法は皆是因縁より生ず 因縁生の故に自性なし」即ち、一切の存在・現象は皆、因縁によって生じたものであり、固有の本体はないので、絶えず変化して止まない、それを「空」といいます。「空」とは固有の本体がないということでは「空っぽ」ですが、縁によって成り立っている存在・現象は仮の姿だから、常に変化していくとも捉えなければなりません。つまり無常ということでもあります。

 大震災もひとつの縁といえます。それによって生じたこの被災状況。これも仮の姿なれば、変化し続けることができます。事実被災地の風景は、変わってきました。ただ個々人の心の風景には、まだもやもやとしたものがあるかもしれません。そんな人にも、この度の般若の風が吹いて、少しは心のもやが晴れてくれたらと願い、法要を勤めました。それが復興につながれば、般若の功徳です。

 復興に向かうとは、どんなに空であっても、過去の時間に戻ることはできないのだから、いかに未来の時間を描こうかと覚悟を決めることではないでしょうか。「過去はコントロールできない。未来のコントロールをめざすことが大事でしょう」。元大リーガーの松井秀喜の言葉です。般若の風を追い風にして、未来への決め球をズバリ投げ込みましょう。 

 ここでお知らせ致します。2月のカンボジア・エコー募金は、76回×3円で228円でした。ありがとうございました。

 それでは又、3月21日よりお耳にかかりましょう。

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