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【第976話】 「良いお葬式」 2015(平成27)年2月1日-10日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第976話です。

 先日70代の女性が新聞にこんな投書を寄せていました。良いお葬式の条件として、亡くなった人が長命なこと、参列者が故人より若いこと、遺族席からすすり泣きが聞こえ、読経の合間に幼児の意味もない声があったりすることを挙げていました。そして、その幼児のあどけなさに参列者が思わずほほえんでしまうような式が、「良いお葬式」だと思うというのです。

 どんな葬式だって、喜ぶべき葬式というのはないでしょう。できれば葬式など考えたくもありません。しかし、老少不定(ろうしょうふじょう)です。どなたも死を避けることはできません。ですから、投書の内容の逆を考えてみれば、葬儀を具体的にイメージできます。たとえば、若くして亡くなった。参列者は当然、同い年か、年長者ばかり。そしてどんな事情があるのか分からないが、すすり泣く人もいない。幼児の陰も姿もなく、この先どうなるのだろうと、誰もが不安を抱くような葬式が、もしあったとしたら、どう思いますか。

 「良いお葬式」とは、「良い生き方」の延長にあるような気がします。それは自分だけでは完結できない良い生き方です。先ずは自分自身が長命でなければなりません。そして、家族は勿論、友人知人などにも恵まれていることも重要です。ですから、恵まれて子や孫などがいるのに、それを遠ざけてしまっては、自分亡き後の未来を断ち切ってしまうようなものです。葬式の時の幼児のあどけなさは、死というものを理解できないで、ただ無心に振る舞っているからですが、そこに一筋の光明があります。人の一生の縮図を垣間見、次に続く命の存在が確かにあると納得できる安堵感です。

 お釈迦さまは、今から2500年前の2月15日に80歳でお亡くなりになりました。お寺ではそれに合わせて1日から15日まで、お釈迦さまが亡くなった時のご様子を描いた「涅槃図(ねはんず)」という掛け軸を、本堂に掲げてご供養を致します。沙羅双樹の下、お釈迦さまは金色(こんじき)の身を横たえておられます。弟子たちをはじめとする大勢の人々が、周りで嘆き悲しんでいます。更にはさまざまな鳥や動物も集まって泣いています。沙羅双樹も枯れて、悲しみの中です。お釈迦さまの偉大さを伝えようとする尊い想いが、そこには込められています。

 「有情非情同時成道(うじょうひじょうどうじじょうどう)」とは、お釈迦さまのお悟りの宣言です。生きとし生けるもの、天地自然はすべて悟りの姿を表しているということです。そのお悟りの通りに全宇宙からお見送りを受けたお釈迦さまのお葬式は、この上もなく「尊いお葬式」と言えるでしょう。そのお釈迦さまに手を合わせ、私たちもせめて「良いお葬式」を迎えられるように、「良い生き方」を心がけ「恵まれた生き方」を願いましょう。

 それでは又、2月11日よりお耳にかかりましょう。

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