法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第970話】 「静坐と星座」 2014(平成26)年12月1日-10日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第970話です。

 東京・大阪間ならわずか2秒で飛ぶことができるスピードの持ち主が、10年かけてやっとたどり着いたところは、地球から5億キロメートル離れた彗星でした。11月13日未明、欧州宇宙機関の探査機は史上初めて彗星着陸に成功しました。そのチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は長さ4キロ、幅3キロだそうです。広大無辺とも思える宇宙の中では米粒のようなものでしょう。そこに着陸できるとは神業に近いものがあります。

 今後、パノラマ写真撮影やドリルで深さ20センチの地表サンプルを採取したり、電波探査装置で内部構造の調査などが進められるといいます。彗星は約46億年前の太陽系の誕生初期にできたとされています。氷が主成分の彗星は、誕生したばかりの地球に衝突し水をもたらしたという説もあるそうです。いずれにしても、太陽系の成り立ちや生命の起源に迫る手がかりが期待されています。神の領域と思われる生命の起源が、いよいよ人類の智恵と技術によって明らかにされる日が来るのでしょうか。

 生命の起源という時間から比べれば、ついこの間のことになるかもしれませんが、2500年前にやはり星との関わりの中で、ひとつの誕生がありました。それはお釈迦さまが仏陀となられたことです。お釈迦さまは釈迦族の王子としてお生まれになりました。子どもの頃から無常観に目覚め、安らかで幸せな生き方はどうすれば得られるのかと深く考えていました。そして、29歳の時、王子としての地位を捨てて出家なさいます。

 最初は修行者らと共に山中に籠り、難行苦行に打ち込みます。しかし6年間も続けたものの、健全な答えは得られませんでした。それどころか、目は落ち窪み、骨と皮だけにやせ衰えて、苦悩はますます深まるばかりです。苦行によって真の悟りを得ることはできないことに気づかれ、山を下ります。

 そして、尼連禅河(にれんぜんが)で沐浴をして、スジャータという村娘の乳粥の供養を受けます。体力を回復されたお釈迦さまは、近くの菩提樹の下で坐禅を組まれました。坐り続けて8日目の明け方、すべての星が消え、空が白むころ、東の空に明の明星だけが輝いています。その星をみて、お釈迦さまは忽然としてお悟りを開かれました。2500年前の12月8日に仏陀が誕生したのです。この日を成道会(じょうどうえ)といいます。

 成道とは道を成就したという意味です。仏陀とは「真理に目覚めて悟りを得た人」を言います。お釈迦さまは、すべての現象は原因や条件によって成り立っている、いわゆる縁起に依るものであることを悟られました。生老病死も縁起に依るものであるから、その因果関係を悟れば、苦悩から解放されることに気づかれました。

 お釈迦さまが明けの明星を見て悟られた縁起の法は、宇宙にも通じることです。探査機が彗星を調査すれば、更にその縁起の法が明確になるかもしれません。静かに坐禅をする「静坐」によって、天体の「星座」のささやきが聞こえてきそうです。成道会には坐禅をしましょう。

 それでは又、12月11日よりお耳にかかりましょう。

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