法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第967話】 「戸花の花」 2014(平成26)年11月1日-10日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第967話です。

 町内の戸花山に、漁師が建てたといわれる諏訪神社があります。海上からの位置の目標として重要なものでした。海から約2キロメートルの距離にあります。その小高い山の麓で人々は普通に生活を営み「戸花」という地区ができていました。東日本大震災の時、津波が来るといわれても、ほとんどの人はまさかここまでは来ないだろうと思っていました。そして20人を超える犠牲者が出ました。家にいて家ごと流されて九死に一生を得た人も一人二人ではありません。
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 そこには長年受け継がれてきた念仏講がありました。長い数珠をみんなで回しながら、仏さまのお名前を唱えてお盆お彼岸等の供養をするのです。その数珠が大津波で流されたものの、無事で発見されました。震災の年の12月に、何もかも流されて荒涼としたその地区の一角にシートを敷いて、縁のある方が長い数珠を回して、犠牲になられた方の冥福を祈りました。

 地区の人々はもう一度そこに戻って暮らすことは叶わず、念仏講の存在も難しい状況です。しかし、誰もが鎮魂のおもいを届けたい、祈りの場が欲しい、豊かな暮らしがあったふるさとの見守りがほしいと願っていました。そうしたところ、震災以来、山元町に支援を下さった方々の中からの資金援助やボランティアの方の働きにより、観音さまが建立されることになりました。

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 観音さまの日である18日を選んで、10月18日に開眼法要が営まれ、その導師を勤めるというご縁をいただきました。「戸花慈母観世音」と名付けられ、かつての戸花地区を見守られる位置に建てられました。そこで参列者に申し上げました。「東日本大震災も巡り合わせです。残念な巡り合わせではありましたが、みなさんは心をひとつにして、無常を転じようとしてきました。その願いが通じ、今こうして観音さまに巡り合うことができました。観音さまはみなさまとこの地区を見守って下さいます。みなさまも観音さまに手を合わせて、その慈悲の心をいただいて下さい。慈悲とは喜びを与え、苦しみを除くことです。それは復興を目指す思いの原点です。共々にそのように心がけて精進しましょう」

 当日は支援して下さった方々が各地から訪れお参り下さいました。とりわけ、千葉県からお出で下さった伝統郷土料理研究会の方々は、早朝よりご自慢の太巻き祭りずしを作り、観音さまにお供えし、みなさまにも振る舞われました。それは切り口がバラや桃の花であったり、カタツムリやパンダの顔もあるユニークな寿司で、戸花という地区に更なる花が添えられたかのようでした。

 その昔、戸花山を見て海上から位置の確認をしたように、これからは戸花慈母観世音を仰ぎながら、心折れることなく、復興を目指していきたいものです。それが多くの方の支援に応える何よりのものです。

 ここでお知らせ致します。東日本大震災を語り継ぐテレホン法話集が出版されました。『一歩先へ 二歩先へ―3.11その先へ―』定価1000円。ご希望の方は徳本寺までご連絡ください。電話0223-38-0320です。

 それでは又、11月11日よりお耳にかかりましょう。

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