法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第957話】 「売り買いのこと」 2014(平成26)年7月21日-31日

957.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第957話です。

 役場から電話がありました。「徳本寺の檀家さんと思われる方から苦情が寄せられました。石屋さんからのダイレクトメールが頻繁に送られて困る。個人情報がお寺から流れているのではないか」というのです。勿論、寺から理由もなく個人情報を特定の業者に教えることはありません。ただ、東日本大震災でお墓も被害を受けているお宅がたくさんあります。墓石の修理や新しい墓石の建立を勧めようと、石屋さんもそれなりに情報収集をして、営業活動をしているでしょう。

 特に、徳本寺の中浜墓地は壊滅状態となり、この度移転して「中浜新墓地」として竣工することができました。そこを使用する方は、ほとんど新しい墓石にするはずです。この情報はかなり前から石屋さんの間では広まっていたようです。また、葬儀を出せば、その後に仏壇やお墓のセールスが訪ねてくることもよくあります。これも寺からの情報でなくとも、死亡広告や葬儀式場の看板でいくらでも知り得ます。

 この役場からの電話の少し前に、ある事件が発覚しました。教育事業大手のベネッセホールディングスの情報流出事件です。通信講座「進研ゼミ」「こどもちゃれんじ」など26のサービスの顧客の個人情報が、過去最悪となる約760万件も外部に流出したというのです。これまでサービスを利用したことのある子どもや保護者の名前、子どもの生年月日と性別、住所、電話番号などの個人情報です。複数の顧客から「覚えのないIT企業からダイレクトメールを受けとった。個人情報が漏れているのではないか」という指摘で判明したのです。

 平成17年4月に個人情報保護法が全面施行されてから、本人の同意なくその情報を知ることが難しくなりました。だから、それ以降に生まれた子どもたちの情報は、名簿業者にとって把握しづらく、価値が高いのだそうです。護ろうとすればするほど、価値が上がり欲しがる人が出てくるという、何とも皮肉な現象です。手書きで書き写さなければならないようなら、これほど大量の情報が漏れることはないでしょう。現在はあまりにも簡単にデータのコピーができてしまいます。それだけに扱う人の良心が一層問われます。

 ある石屋さんから聞きました。たまたま仕事で訪ねた仮設住宅。そこには様々なセールスがやって来て、鍋釜から毛布など、お年寄り相手に言葉巧みに商売をしていくとか。それを見て、その石屋さんは、個別訪問のセールスはしないと決めたそうです。相手の弱みに付け込むように見えたのでしょう。この世に生きている限りは、生老病死、入学卒業、就職結婚などの個人情報は、それぞれの関連業者にとっては、商売の糸口となる貴重なものです。しかし、心ない業者が被災されたお宅や、犠牲者の葬儀を行った方に、商品を売りつけたとしても、自分は顰蹙(ひんしゅく)買うということを思わなければなりません。

 それでは又、8月1日よりお耳にかかりましょう。

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