法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第954話】 「辛いと幸い」 2014(平成26)年6月21日-30日

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954.JPG  お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第954話です。

 思えば東日本大震災が発生した日の平成23年3月11日に山元町役場では、午後1時30分より山元町総合計画審議会が開催されていました。私も委員の一人でしたが、たまたま寺の用事と重なり欠席しました。会議中に地震が発生し、会議はすぐに中止になったそうです。出席していた役場職員と委員の方は、それぞれの立場で震災への対応をしました。その中には残念ながら犠牲になった方もいらっしゃいます。

 平成22年8月に発足したその審議会では、町の現状と課題を見極め、将来に向けてより良い町づくりを提案すべく、話し合いがもたれていました。課題の一つに「人口問題」がありました。当時の町民は約16,900人で、減少傾向でした。加えて、高齢化率は30.8%で県内で5位、25歳-39歳の未婚率は県内1位、出生率は県内ワースト4位です。そして、20年後の平成42年は、人口が12,899人、高齢化率は46.2%と予想されていました。

 大震災後、中断された審議会が再開する必要もないほど、町は一変しました。633人の方が犠牲となり、全体の40%にあたる2,217棟の家屋が全壊となりました。今年4月現在の人口は3,900人減って約13,000人、戸数も1,000戸減って4,500戸余りとなっています。大震災は一瞬にして、予想を20年早めてしまったのです。20年かけての対応と思っていたことが、今現在待ったなしの現実となっています。

 更には、民間研究機関「日本創成会議」が、5月にショッキングな発表をしました。子どもを産む世代の若年女性(20歳-39歳)の平成52年の人口推計です。30年前即ち震災前年の平成22年と比べて50%減る自治体は、将来的に消滅する可能性がある「消滅可能都市」と位置付けています。それによりますと、宮城県でも23市町村が消滅の恐れがあるそうです。山元町は変化率64.7%で、県内で4番目に高い割合となっています。

 正直言って、これだけの数字を提示されると、将来の展望が開けません。大震災からの復興に尽力するだけでも辛いことなのに、30年後に町が消滅するかもしれないなどといわれた日には、辛さが募るばかりです。しかし、数字に怯える前に、今生きているという実感をしっかり抱きたいものです。過去に戻ることはできず、明日もわかりません。「今・今」の連続を貫くしかないのです。

 「ツラくないってことは 生きてないってことだから」とは、吉川晃司の言葉です。つまり、生きている限り「辛さ」は誰にでもあるということです。そういえば、「辛い」という漢字の第一画目の点を少し伸ばし、数字の「一」を置いてみると、「幸い」という字になります。「辛いってことは 幸いの一歩手前ってことだから」

 それでは又、7月1日よりお耳にかかりましょう。

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