法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第946話】 「結が独尊」 2014(平成26)年4月1日-10日

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946.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第946話です。

 お釈迦さまは、今から約2500年前の紀元前463年4月8日に、釈迦族の王子としてお生まれになりました。お釈迦さまは生まれてすぐ、東西南北に7歩歩かれ、右手で天を左手で地を指さして、「天上天下唯我独尊(てんじょうてんげゆいがどくそん)」と仰いました。この時の姿が誕生仏として伝わっています。

 「天上天下唯我独尊」とは、天にも地にも自分より尊いものはないということですが、本意はそのような独善的なことではありません。この世界では、人もものもその命はたった一つ、かけがえのない存在です。だから自分の命が尊いように、他の命も尊いのだから大切にしなさいという教えです。

 さて、誕生仏の姿とは似て非なるものですが、私も天と地を思わず指さしたことがありました。あの東日本大震災当初のころです。住職を兼務している同じ町内にある徳泉寺は、沿岸にあり、大津波で本堂も何もかもが流されてしまいました。道路が瓦礫でふさがれていて、やっと徳泉寺にたどり着いたのは、一週間経った3月18日のことでした。

 ほんとうに何もありませんでした。辛うじて建物の土台が残っているだけでした。言葉を失い涙も出ず、呆然としました。あまりに海に近いせいでしょうか、瓦礫もほとんどなく、白い砂浜になっていました。上を見れば、抜けるような青空が広がっていました。その時、思わず天と地を指さし「何だ、青空があるじゃないか。大地だって自分を支えてくれている。確かにあらゆるものを木っ端微塵にした大震災ではあるが、揺るぎない空と大地の間に、こうして立っている。ここから始めようと思えば、きっと復興は叶う」とつぶやいていました。

 あの当時愛する人を亡くしたり、大切な家屋敷や生活のすべてを失った方々にとっては、青空も大地も海も恨みの対象にこそなっても、それに励まされるというような心境にはとてもなれなかったでしょう。だからつぶやき以上のものではありませんでした。でも密かにこの青空と大地を新しい徳泉寺の出発の旗印にしようと誓いました。

 3年経った今、徳泉寺も全国のみなさんから寄せられている3千口を超える「はがき一文字写経」のおかげで、単に元通りにするだけではなく、生まれ変わろうという気概が漲っています。一人では何もできませんが、みんなで助け合う「結(ゆ)い」の精神がそこに見えます。真に復興を成し遂げた暁には、生まれ変わったつもりで、お釈迦さま誕生の時の宣言にならって、「結が独尊」つまり、助け合いの「結い」が一番尊いと叫び、多くのみなさまと手を合わせることを願っています。

 ここでお知らせ致します。東日本大震災を語り継ぐテレホン法話集の第2集が出版されました。『一歩先へ 二歩先へ―3.11その先へ―』定価1000円。ご希望の方は徳本寺までご連絡ください。電話0223-38-0320です。
 
 それでは又、4月11日よりお耳にかかりましょう。

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