法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第945話】 「黄色いハンカチ」 2014(平成26)年3月21日-31日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第945話です。

 刑務所から出所する男が、妻に手紙を書きます。「もしまだ自分を待っていてくれるなら、出所する日に庭の鯉のぼりの竿に、黄色いハンカチをあげておいてくれ」。ハンカチが見えなければ、男はそのまま立ち去る決心をしていました。遠くから恐る恐る家を眺めると、なんとそこには竿いっぱいにはためく黄色いハンカチが見えました。男は感無量の想いで妻との再会を果たすのでした。高倉健主演で大ヒットした映画「幸福の黄色いハンカチ」です。今から37年前の昭和52年のことでした。以来、黄色いハンカチは、幸せの象徴のような存在になりました。

 その想いを汲んでのことなのでしょう。震災当初から山元町では、黄色いハンカチが至る所ではためいていました。支援して下さった方すべてに感謝したいという想いと、山元町はこんなに元気ですということをハンカチで伝えたかったのです。評判が全国に広がり、たくさんの方が励ましのメッセージを書いた黄色いハンカチを送って下さるようになりました。これまでに1万枚を超えたそうです。震災3周年を迎え、3月いっぱい改めて、町内の各所にハンカチが掲げられています。

 徳本寺の境内にも、百数十枚の黄色いハンカチが、震災復興祈願法要に合わせて飾られました。主に兵庫県多可町のみなさんから送られたものです。子どもから大人まで、手書きの文字が踊っています。「元気」「希望」「絆」「頑張る」などの文字が目につきます。その中でも「笑顔」という言葉が多いようです。あるハンカチにこんなことが書いてありました。「辛いときこそ笑いましょう」。3年過ぎた今だからこそ言える言葉でしょう。震災当初の辛さの極みの時、そんな風に声をかけることはできませんでした。でも今は「辛いときこそ笑いましょう」と思わなければならないのかもしれません。ある大脳生理学者の言葉です。「辛いから辛い顔になるのではない。辛い顔をするから、脳が辛い思いをしようとする。笑うことにより、脳は楽しいことを思うようになる」

 なるほど、初めに表情ありきでしょうか。ほんとうに悲しいときは表情も何も関係なく、泣くしかありません。しかし、いつまでも泣いていて、楽しくなるはずがありません。何かの拍子に笑うことができたとき、少し心が晴れることがあります。

 3年という数だけでの区切りをつけたくはありません。でも3年を超えたということは、笑う時は亡くなった人にだって遠慮することなく、笑っていいんだよという区切りと思いたいものです。「幸せだから笑うんじゃない 笑うから幸せになるんだ」。風にはためく黄色いハンカチを見て、お参りの方はどなたも微笑んでいました。少し幸せな想いを抱いて、亡き人との再会を果たした東日本大震災3周年の日でした。

 それでは又、4月1日よりお耳にかかりましょう。

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