法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第941話】 「衣鉢を継ぐ」 2014(平成26)年2月11日-20日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第941話です。

 名画にまつわる謎解きはよくあります。レオナルド・ダ・ビンチが描いた「最後の晩餐」の謎解きの一つ。イエスの右隣に描かれている人物で、ちょっと身を引いているのが裏切り者のユダです。彼は右手に小さな袋を握っています。それにはイエスを売り渡して得た銀貨が入っているという説があります。

 お釈迦さまはイエス・キリストより500年ほど遡った約2500年前の2月15日に亡くなりました。ある意味イエスとは対照的な最期の姿かも知れません。お釈迦さまが亡くなった時の様子を描いた涅槃図を見るとよく解ります。沙羅双樹の林の中で、大勢のお弟子さんやありとあらゆる生き物までも泣きながら、お釈迦さまに寄り添っています。8本の沙羅双樹のうち、4本は立ち枯れて白っぽく描かれています。偉大な方の死を嘆くと共に無常の理を象徴的に表したものでしょう。

 枯れていない沙羅双樹の枝には、ユダが握っていた袋ではありませんが、小さな袋が掛っています。この袋について謎解きがあります。一つは薬袋という説です。涅槃図の右上の方に、天から降りてくるお釈迦さまの生母摩耶夫人(まやぶにん)が描かれています。亡くなる間際のお釈迦さまに、長寿の薬をお与えになろうとしました。しかし、摩耶夫人が投じた薬袋は、願いも虚しく木の枝に引っかかって、お釈迦さまには届きませんでした。因みに、薬を与えることを「投薬」というのは、この故事が元になっているとも言われています。

 しかし、涅槃図をよく見ると、枝に掛っているのは袋ではなく、錫杖という僧侶が持ち歩く杖です。その錫杖に袋が結ばれているので、いかにも袋が枝にぶら下がっているように見えるのかもしれません。そして、錫杖と袋の組み合わせとなれば、その袋は薬袋ではなく、衣鉢袋であろうという説につながります。衣鉢とは衣と鉢と書きます。即ち、僧侶が唯一許された持ち物である三つの衣と一つの器です。衣はいわゆるお袈裟のことで、三種類あり、時に応じてそれを身にまとい仏道を行じます。器は応量器ともいい、托鉢や食事の時に用います。修行に歩くとき、常にそれらを携行するための袋が、衣鉢袋です。

 僧侶にとって衣鉢は、必要最少限の持ち物であり、最も大切なものです。出家するときは師匠から第一番目に授けられます。また、師匠からの教えを受け継ぎ、奥義を極めることを「衣鉢を継ぐ」といいます。よく世間ではこの時に「イハツ」を「遺され髪の毛」の「遺髪」と勘違いしていることがあります。髪の毛の遺髪の場合は、故人の形見という意味合いが強いでしょう。「衣鉢を継ぐ」とは、単にものを授かるだけではなく、その心や教えを、ほんとうに納得することです。そして描かれていることの解きではなく、お釈迦さまの教えをなぞるようにして、しっかり生きていくことでしょう。

 ここでご報告致します。1月のカンボジア・エコー募金は、122回×3円で366円でした。ありがとうございました。

 それでは又、2月21日よりお耳にかかりましょう。


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