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【第928話】 「苦節九年」 2013(平成25)年10月1日-10日

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928.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第928話です。

 「面壁九年」という言葉は、達磨さんがインドから中国に渡り、仏法を広めようとしましたが、受け入れてもらえず、九年もの間壁に向かって坐禅したことに依ります。どんな困難にも屈することなく、自らの信念を貫く姿勢を示しています。

 その面壁九年ならぬ苦節九年で、プロ野球の東北楽天イーグルスは、9月26日パリーグ初優勝を果たしました。2004年プロ野球再編問題があって生まれた新球団が楽天です。当時のオリックスと近鉄の合併球団から外れた選手と、他球団を戦力外となった選手で構成されていたため、力不足は明らかでした。2005年の開幕戦に勝って、歴史的初勝利と喜びに沸いたのもつかの間、翌日は26対0という記録的大敗を喫しています。結局その年は、首位から51.5ゲーム差の、38勝97敗1分けで最下位でした。

 「寄せ集め集団」が、そう簡単に実績を残せるわけもなく、低迷は続きました。しかし、野村元楽天監督の「負けていても帰らず、温かい声援を送ってくれる。あんなにやりやすいファンはいない」、という言葉通りの、東北のファンの支えが後を押したことは確かでしょう。現在の星野監督が就任したときも、いきなり東日本大震災が発生。プロ野球の開幕さえ危ぶまれました。それでも楽天の選手が、被災者を励ましに訪れたり、ファンも球場で声援をおくるというお互いの熱い想いは、徐々に熟していったのでしょう。

 星野監督は言います。「復興というのは形だけではだめ。心も前向きにならないと真の復興にはならない。だから、逃げたくなることもあったが、どんなになじられようと、けなされようと前に進まなければならない。少しでも被災者の力になればとやってきた」まさにこの度の優勝は、一球団の優勝というだけでなく、被災地に、復興へ向かう希望の星の優勝でもあるでしょう。

 さて、達磨さんは、中国に渡って最初に見えたのは梁の武帝という仏教の篤信者でした。しかし、彼の仏教に対するこだわりには、何か見返りを求めていることが感じられました。まだ、真の仏教が伝わる時期ではないことを悟って、9年もの間、壁に向かって坐禅をし続けました。しかし、その不撓不屈の精神は確実に伝わり、西暦532年150歳でなくなりました。10月5日が命日で、「達磨忌」の法要が営まれます。

 うわべだけの信仰心をひけらすことに何の意味もありません。そのことを、達磨さんは「面壁九年」を以ってお示しになりました。どん底でもがこうが、前を向いている限り、そして支えてくれる人がいる限り、結果はついてくることを、「苦節九年」の楽天が教えてくれました。被災地の私たちとて同じです。自分だけがよければといううわべのこだわりを捨て、復興に心を入れましょう。多くの方の支えを信じて、七転び八起きの達磨さんを思い、「苦節2年半」今立ち上がりましょう。

 それでは又、10月11日よりお耳にかかりましょう。

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