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【第927話】 「五輪」 2013(平成25)年9月21日-30日

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 お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第927話です。

 オリンピックを「五輪」という日本語で表記したのは、読売新聞が最初で、昭和11年のことです。その年に昭和15年に東京でオリンピックが開催されることが決まりました。オリンピック報道をするにあたり、見出しの文字の制限から、当時の記者が考えた言葉です。結局は、戦争のためそのオリンピックは幻に終わりました。しかし、「五輪」という言葉は、今に伝えられています。オリンピック旗の五つの輪と、宮本武蔵の『五輪書(ごりんのしょ)』から思い浮かんだということです。

 そしてこの度、2020年に東京でオリンピックが開催されることが決定しました。国を挙げての歓迎ムードに水を差すつもりはありません。しかし、被災地では複雑な思いでいる人も少なくないはずです。東日本大震災から2年半が経って、世の中では風化ムードが漂い始めています。被災地復興よりもオリンピック開催が優先されることが多くならないか懸念されます。

 現在でも建設現場では、人手不足や資材の高騰などで、一般住宅の建築に影響が出ています。7年後にオリンピックが開催されても、まだ仮設住宅から移れないなどということがないとは言えません。更に被災地では風化という水を差すどころか、福島第一原発の汚染水流出が新たな問題になっています。風化する暇もなく汚染水は流れ続けているのです。

 東京でのオリンピック開催で、世界中が不安視するのは、原発の影響です。それを払拭するかのように、総理大臣は「汚染水は完全にブロックされている」とか「状況はコントロールされている」などという、いかにもおもてなし風の発言をしました。また、東京招致委員会の理事長は、「東京は水、食物、空気についても非常に安全なレベル。福島とは250km離れている」と言いました。これは「東京は安全だ」という最大のおもてなし発言でしょうが、「福島は危険だ」という裏返しとも解釈できます。事実、福島では15万人もの人が、故郷を奪われている現状です。他の被災地でも、家屋敷を流され、元のところに戻れない人がたくさんいます。

 「五輪」という名称のもとになった『五輪書』の五輪は、仏教の宇宙観を現しています。宇宙は「地・水・火・風」という四大要素で成り立ち、それらは「空」であるということでの「五輪」です。「空」とは空っぽということですが、うまく溶け合っている状態も表します。オリンピック旗の5つの輪は、世界の5つの大陸のことで、それらもうまく溶け合って平和の祭典となることを象徴しているはずです。おもてなしの国も、被災地が被災地でなくならない限りは、うまく溶け合うことはできません。五輪に夢中になって、復興への道のりが五里霧中にならないように願うばかりです。

 ここでご報告致します。8月のカンボジア・エコー募金は、74回×3円で222円でした。ありがとうございました。

 それでは又、10月1日よりお耳にかかりましょう。

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