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【第926話】 「真実イチロー」 2013(平成25)年9月11日-20日

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926.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第926話です。

 ご法事の時、晴れていれば「日頃のみなさんのご精進がいいので、お天気に恵まれましたね」などと挨拶できます。これが大雨などの悪天候だったら、どう言ったらいいでしょう。まさか「みなさんのご精進が悪かったようですね」とは言えません。しかし、考えてみれば、悪天候の時、お墓参りできる人こそが、ほんとうに精進がいいと言えます。ぽかぽか陽気の時のお墓参りなら、誰でもたやすいことです。

 さて、精進の話です。大リーグ、ヤンキースのイチロー選手は、8月21日に日米通算4千安打を達成しました。4千安打以上は、大リーグでも、ピート・ローズ(4256安打)とタイ・カップ(4191安打)の二人しかいません。記念の一打を放つと、ニューヨークの球場は、同僚が一塁に駆け寄り、観客も総立ちとなって、その偉業を称えました。本人も「半泣きになった」というほどの感激だったようです。

 そして、記者会見でこう語りました。「4千の安打を打つには、8千回以上は悔しい思いをしてきた。それと常に向き合ってきたので、誇れるとしたらそこじゃないかな」。イチロー選手と言えども、年間4割は打てません。10回打席に立っても、四球や相手のエラーで出塁することを別にすれば、6・7回は凡打で終わります。安打の数の倍以上の悔しさを味わって当然です。ただそこから逃げないで、この次はどうすれば打てるようになるかという探究心を怠らなかったのでしょう。

 日本のプロ野球でも凄い記録が生まれました。楽天の田中投手が、開幕から負けなしの20連勝を記録しました。これは、1912年に大リーグのルーブ・マーカード投手が挙げた19連勝を、実に100年ぶりに破る記録なのです。昨年8月から続けている連勝も24となり、自らのプロ野球記録を更新しました。そして月間MVPも11度目となり、件のイチロー選手が日本で築いた記録を超えました。その田中投手曰く「常にミスを反省し、繰り返さないように心がけてきました。ミスを糧として、プレーしてきた結果です」

 状況がいい時の精進なら、誰でもできます。状況が悪い時の精進は、そう簡単ではありません。しかし、悪い時こそ精進が求められます。イチロー選手や田中投手のように、数多くの悔しさや、ミスをそのままにせず、常に向き合い、どうすればいい結果になるかを追求する姿勢こそが精進でしょう。その精進は決して大袈裟にふるまうことではないというのは、イチロー選手の言葉が語っています。「小さいことを積み重ねることでしか、とんでもないところへは行けないんです」

 人生においても、好い日ばかりではありません。雨の日にお墓参りをしなければならないこともあります。彼岸に至る教えの一つに精進があります。仏の心で生きる彼岸というとんでもないところへは、雨であれ晴れであれ、一日一日を大切に積み重ねることでしか、到達できないのだと信じましょう。真実イチローです。

 それでは又、9月21日よりお耳にかかりましょう。

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