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【第925話】 「ごみを拾う子」 2013(平成25)年9月1日-10日

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925.JPG お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第925話です。

 今年の甲子園でも、真紅の優勝旗の白河越えは果たせませんでした。準決勝に山形代表の日大山形と岩手代表の花巻東が残ったので、東北勢同士の決勝戦も期待されましたが、残念ながら、2校とも決勝進出はなりませんでした。それを尻目に見るかのように、群馬代表の前橋育英は、初出場初優勝を成し遂げました。その決勝で敗れた延岡学園も初出場でしたが・・・。

 甲子園に出場するだけでも、並大抵のことではありません。初出場となれば、更にその価値は高まることでしょう。そして、甲子園で勝ち進むためには、野球の実力は当然求められますが、それがすべてではありません。野球はチームプレーです。一人のスーパースターがいるだけでは、敵わない場面はいくらでもあります。真夏という気候条件をはじめ、様々な巡り合わせの綾が勝敗を左右することもあります。甲子園で頂点に立つのは、奇跡に近いことです。それが初出場ともなれば、全く奇跡と言ってもいいことかもしれません。95回を数える夏の甲子園で、初出場初優勝は14校目だそうです。平均すれば6〜7年に一回の割合であることではありますが、前橋育英の場合は、22年ぶりの快挙でした。

 快挙の原点を、前橋育英の荒井監督はこう言っています。「ごみを拾う子は捨てる子にならない」。監督に就任した11年前、部員の暴力問題が起きた直後で、部は荒れていたそうです。そこで、選手と毎朝、寮や周辺のごみ拾いを始めました。それは甲子園に来てからも、続けました。選手たちは毎朝散歩しながら、各自で袋を持ち、ごみを拾いまいた。この間30分ほど、一切の会話は禁止です。ごみを拾うというのは、単に道徳的に価値があるということだけではなく、細かいことに気づく習性が身につくと、監督は言います。事実、相手の動きを見逃さない洞察力が養われた選手たちは、バントか打ってくるか判断が難しい場面でも、打者の足の動きを見て、先んじてバント処理の態勢をとり、進塁を許さないプレーを何度も成功させました。

 私は修行時代、掃除の極意を教えられました。掃除は隅々まできれいにするというのはその通りですが、隅々を特にきれいにするのがコツなのです。目立つところに落ちているごみは、誰でも気づき拾うことができます。隅々がきれいになっている部屋や庭に入ると、掃除が行き届いていることが伝わり、心から清々しい気分になるものです。隅々まで気を配ることを、自然にできるようになれば、掃除名人になれます。

 野球でも日常の平凡なことを続けて、隅々まで気を配れるようになれば、見す見すしなくてもいいような凡プレーが減り、深い河も高い山も越えて、頂点に立つことができるのかもしれません。

 それでは又、9月11日よりお耳にかかりましょう。

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