法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第921話】 「東堂さま」 2013(平成25)年7月21日-31日

再生ボタンをクリックすると 住職が語る法話を聴くことができます

法話の再生921.mp3


921_20.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第921話です。

 お寺では西のお堂と書く「西堂」という役職があります。これは住職を助けて、修行僧を指導する徳の高い僧のことを言います。その昔、中国で皇帝の賓客の寝室が西に造られ、西堂と称していました。それが寺院に取り入れられ、序列で住職の次に位置する方を、西堂と呼び、伽藍の配置上でも、西側にその建物はあります。

 また、東のお堂と書く「東堂」と呼ばれる方もいます。これは住職を退いた方を指します。これも中国では東を上位と考え、皇帝の座を退いた方の寝室を、皇帝が前皇帝に敬意を表して東側に造られたことに由来します。そして、住職を退いて東堂になる式を「退董式」といいます。退董の「董」は、骨董品の「董」で、大切なもの、あるいは監督し管理するというような意味があります。

 先日、仙台市の玄光庵というお寺で、その退董式がありました。東堂になられたのは、玄光庵28世雄山昇頴大和尚さまです。私が「若僧」のころからご薫陶を賜った、まさに徳の高い大和尚さまです。10年前に大病を患いながらも、持ち前の仏道精進に対する志の高さがあって、不死鳥の如くに復活し、住職を勤めて来られました。40年以上も住職として、どなたからも一目置かれるような存在観を示しておられました。御年86歳でまだまだお元気ではありますが、この度後進に道を譲られたのです。

 昇頴大和尚さまは、玄光庵の発展に力を尽くしたことはもちろんですが、人材の育成に大いなる力量を発揮されました。毎朝坐禅に訪れる一般の方が絶えません。檀家さんに対するもてなしは、大きな懐に抱くようなふんわりとしたものがあり、誰もまねできません。人徳のなせる業でしょう。そして私をはじめ多くの若き僧侶が、一時期その膝下でお世話をいただきました。人としてあるべき姿や、住職学のイロハを学んで、一人前の僧侶として育ち、現在各方面で活躍しています。

 今から25年前、その僧侶たちが集まり、昇頴大和尚さまの還暦のお祝いを催しました。以来、昇頴大和尚さまの名前の号をいただき、「雄山会」と称して、折に触れ集まり、変わらぬご薫陶を賜ってきました。そして「雄山会員」の資格はといえば、一緒に朝の坐禅を組み、お茶を飲み、尚且つ奥様のみそ汁をいただいたことのある人というのが第一条件です。加えて、何度か叱られたことのある人でなければなりません。昇頴大和尚さまは実に褒め上手ですが、叱るときや注意をするときの加減も絶妙です。そこに自分の都合というものがなく、ただその人のことを思い、褒めたり、叱ったりできるから、相手の心に響くのでしょう。そして、そのお叱りには、悪い点を直して、次なる飛躍をせよとの期待がこめられていたのかもしれません。

 退董式において我々「雄山会員」は、東堂となられた昇頴大和尚さまに、今後ともお叱りを頂戴しますことをお誓い致しました。これから先の「おしかり」とは、「それで然り」というお墨付きを東堂さまから堂々といただけるような精進をしていくことを意味します。

 それでは又、8月1日よりお耳にかかりましょう。

法話のご案内 一覧