法話 〜3分間心のティータイム〜イメージ

【第914話】 「功の多少 彼の来処」 2013(平成25)年5月11日-20日

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914.jpg お元気ですか。3分間心のティータイム。徳本寺テレホン法話、その第914話です。

 私は記憶の良い方ではありませんが、30年以上前のある時期の朝食のメニューなら、一年間分すべて言えます。毎日、お粥とごま塩と漬物でした。そう、本山での修行時代の食事だからです。それとは全く別次元ですが、メニューは玄米雑炊少々、キャベツと大根の味噌汁二口分を紙コップに入れ、割りばしは1本を半分にしての食事とは、あの大震災の3月11日の避難所での夕食です。この度山元町がまとめた避難所で提供した食事の記録誌で知りました。

 山元町は約6割の住宅が全半壊の被害を受けました。当時の人口の3分の1近い5826人が最大19カ所の避難所に身を寄せていました。電気が12日間、水道が47日間も止まる中で、町は5カ月間に亘って大量の食事を調理し提供し続けたのです。当初は人数に見合う分の食糧の調達ができず、近隣の人が持ち寄ってくれた米・野菜などでしのぎますが、1日2食の配食を余儀なくされました。食器も足りなく、洗う手間が増え、衛生面でも不安があったといいます。3日目にやっと支援物資が届き始め、4日目に自衛隊が到着し、大量の炊き出しが可能になりました。

 そんな中で、おにぎりの活躍が光ります。冷凍食品やパンにバナナというのも重宝されました。自衛隊の方の給食活動についてのコメントによれば、最大で4500人分の炊事をしたそうです。その食材となれば、米が約320kg、味噌40kg、具材のジャガイモ200kgが必要といいます。補給の遅れや、痛みやすい食材から使用せざるを得ないことと、希望する食材や調味料が手に入らないために、思ったような献立ができない悔しさもあったようです。

 私たち修行時代の食事のときは、「五観の偈」というお唱えごとをしていただきます。その第一番目には「一(ひと)つには功(こう)の多少(たしょう)を計(はか)り彼(か)の来処(らいしょ)を量(はか)る」とあります。つまり「この食事はご飯ひとつとっても、米を作る人の労苦、育つまでの自然の恵み、調理する人の愛情など、計り知れない多くのおかげがあって、今いただくことができる、そのことに感謝しましょう」ということです。平常時においてもその通りです、ましてやあの大震災直後の混乱期における「功の多少」と「彼の来処」は、如何ばかりだったでしょう。

 もう二度と大震災時のような食事はしたくありません。ただ、あの時味わった不自由しながら限られた量の食事の有り難さは、生涯忘れることはないでしょう。避難所で「五観の偈」を唱えて食事をした人は、いないかもしれませんが、その有り難い心は自ずと感じていたはずです。これから先、何十年経っても、当時のメニューを忘れることなく生きていくことが、復興への原動力であり、もしもの時の何よりの備えになると信じます。

 ここでご報告致します。4月のカンボジア・エコー募金は、117回×3円で351円でした。ありがとうございました。

 それでは又、5月21日よりお耳にかかりましょう。

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